「日本のプロレスの父」力道山の想いを伝えたい 夫人の田中敬子名誉館長が熱く語った

「日本のプロレスの父」力道山の夫人・田中敬子さんが名誉館長を務める「プロレス殿堂館リングサイド」の全貌が徐々に明らかになってきた。

プロレス殿堂館リングサイドのグッズを着用する田中敬子さん【写真:柴田惣一】
プロレス殿堂館リングサイドのグッズを着用する田中敬子さん【写真:柴田惣一】

敬子さんが名誉館長を務める「プロレス殿堂館リングサイド」

「日本のプロレスの父」力道山の夫人・田中敬子さんが名誉館長を務める「プロレス殿堂館リングサイド」の全貌が徐々に明らかになってきた。

 熊本県天草市に建設中の同館。大安の4月9日のオープンに向けて、現地のストロング永田章一館長らと東京の敬子さんをリモートで結び、プロレスにかける熱い思いを語りあった。

 永田館長が所有する倉庫(約130平方メートル)を改修し、500点の貴重なコレクションが展示される。

 力道山と言えば、東京・池上本門寺にある上半身の胸像が有名だが、もう1つの銅像が今回、公開されることになった。実は敬子さんが自宅に秘蔵してきた作品で「雨風にさらすとダメになってしまうというので、私が身近に置いて大切にしてきた」と感慨深げだ。

 他にも、敬子さんのアルバムから寄贈されるプライベートショットなど100点の写真、実物手形、大相撲時代の番付表など力道山グッズを始め、アントニオ猪木の声を聞くことができる「闘魂カー」、アブドーラ・ザ・ブッチャーが愛用したリングシューズ、頭にかぶるクーフィーヤなどのコスチューム一式、力道山以前に米国マットで活躍したマティー松田の貴重な写真10点、マッハ文朱の殿堂入り盾、等身大パネル(力道山、猪木、丸藤正道)、丸藤の入場マスク、力道山の日本プロレス時代から現在まで、日本のプロレス史70年を振り返られるポスター200点、プロレスラーのフィギュア300点など、貴重な品々ばかりだ。

 展示スペースにはすでにリングも設置されている。子どもたちにプロレスを体験しながら「人の痛み」を実感できる教育プロレスも予定している。「我が身をつねって人の痛さを知れ」という言葉があるが、まさにその実践だ。

 今年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」だが、鎌倉幕府の北条重時が「極楽寺殿御消息」と呼ばれる家訓に、同じ言い回しで書き遺している。800年前から伝承される戒めだが、最近ではあまり聞かれなくなったとはいえ、大切な人生訓である。それをプロレスを通して伝えたいという教育的見地に立った思いもある。

 また定期戦のゴングも鳴らしたいという。「2、3か月に1回、いろいろな選手、団体を誘致して試合を行いたい。天草らしさを生かした、海にちなんだプロレスも考えている」と永田館長は声を弾ませる。展示館を飛び出す「天草・海上プロレス」。新たなマスクマンの登場もありそうだ。「オコゼやタコとドルフィンマンが海上、水上に設置したリングで闘う。ここ天草でしか見られないプロレスを披露したい」と夢は膨らむ。

 テナントスペースも併設され、プロレスにちなんだ名前が付けられた食品などが楽しめ、オリジナルグッズも購入できる。天草の名物、物産も並べられる。

 ワンドリンク付きの入場料は550円で、館内を自由に見学、リング体験もでき、ここ2年のうちに増設、新団体の結成も計画されている。

 敬子夫人は「主人・力道山の教えである闘うことの意義、ネバーギブアップの精神を伝えていきたい。特に若い人たちに闘う気持ちを忘れてほしくない。同時に、天草の素晴らしい自然を世界中に発信していけたら」と改めて強調。誰よりも4月のオープンを待ち望んでいる。

 長引くコロナ禍で人々の気持ちが暗く沈む中、少しでも前向きに、そして元気になってほしいという。桜が咲くころ「プロレス殿堂館リングサイド」がオープンする時には、コロナも収束し、明るい気持ちになれることを切に願っている。(文中一部敬称略)

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