人気でも運でもない、完全実力勝負の“ガチ歌バトル”――。数々のドラマとヒロインを生んできた「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」は、2022年1月に開催された第4回大会でも、AKB48／STU48の岡田奈々が4回目の出場で悲願の初優勝、STU48勢のトップ3独占、AKB48村山彩希や岩立沙穂、NMB48加藤夕夏らベテラン勢の初登場など、新たな1ページを刻んだ。

　学生時代は吹奏楽部に所属し、10年以上のトランペット歴とアレンジ経験、「輝く！日本レコード大賞」のスタッフも長年担当してきた、大会の仕掛け人であるTBSの竹中優介プロデューサーが、決勝大会に出場した20人のメンバー一人一人へ贈る感謝のメッセージ。後編では第3組・4組の10人をお届けする。（取材・文＝小田智史）

■加藤夕夏（NMB48）
・決勝大会進出：初
・1曲目／イチリンソウ（山本彩）

　この大会は若手メンバーのためだけに開催しているのではなく、加藤さん、岩立（沙穂）さん、村山（彩希）さんらベテランも、練習を積み重ねれば自分の何か新しい面を評価してもらえる場があるということを体現してくれました。一方で、NMB48の3期生で、10年目のベテランでも、歌唱力No.1決定戦のステージはこんなにも緊張するんだと身をもって体感したはずです。

　リハーサルのときに比べたら、本番では思った歌唱ができていなかった。ただ、ステージに立った経験、客席でファイナリストの歌を聞いたことによって、上に行くためにはどれくらい自分と差があるのかも分かったと思います。あの日感じた歌や音楽のことを、ぜひNMB48のいろんなメンバーに伝えてほしいです。

　もともと備えているスペックは高くて、挑戦4回目で決勝大会への切符を掴んだ努力に拍手を送りたいです。選曲で（元NMB48の）山本彩さんのソロデビュー曲を歌ったところも、NMB48への愛情を感じました。加藤さんはきっと、ダンス経験を生かしてビート感とか音楽で戦うこともできる。またすてきな歌を聞かせてほしいので、今回の決勝大会の経験は彼女にとってスタートであってほしいし、これからNMB48の後輩たちが躍進するためにも、先輩として背中でグループを引っ張ってくれる存在だと期待しています。

■小田えりな（AKB48）
・決勝大会進出：4大会連続4回目（第1回は不参加）
・1曲目／Loveletter（aiko）

　小田さんは過去イチ、素晴らしい歌を歌っていたと思います。表情、歌声、スタイリング、aikoになりきって歌う様、選曲のかわいらしさ、本当に魅力的な歌い手です。ただ、歌唱力No.1決定戦はコンテストなので、ライブとしては味があって素敵な部分も、プラスに働かないところがあって、リズムとか細かいピッチの乱れはどうしてもマイナスになってしまいます。

　コンテストの場でありながら、お客さんに向けて自分の歌を歌い切ったという点では、すてきな選択で、カッコいいなと思いました。小田さんの歌を聞いたお客さんは、きっと楽しくなったはずです。

　今度、（4月に）ソロLIVEを開催するそうですが、歌唱力No.1決定戦で彼女の歌を聞いてリサイタルに行きたくなった人もいると思います。僕のワガママを言えば、コンテスト仕様に仕上げたときにどこまで行けるのかも見てみたいです。