芥川賞受賞は「困ってます」 元自衛官で公務員の砂川文次氏が会見で“本音”を連発

第166回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)が19日発表され、芥川賞を受賞した砂川文次氏(31)が記者会見に出席した。3回目の候補入りで、受賞作は「ブラックボックス」(群像八月号)。

第166回芥川賞を受賞した砂川文次氏【写真:ENCOUNT編集部】
第166回芥川賞を受賞した砂川文次氏【写真:ENCOUNT編集部】

受賞作は「ブラックボックス」 第166回の選考会が開催

 第166回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)が19日発表され、芥川賞を受賞した砂川文次氏(31)が記者会見に出席した。3回目の候補入りで、受賞作は「ブラックボックス」(群像八月号)。

 砂川氏は1990年、大阪府生まれ。2016年「市街戦」で第121回文學界新人賞を受賞した。元自衛官でヘリコプターのパイロットの経験があるという。現在は公務員の仕事に就いている。趣味は、今回の作品にも取り込んだ「自転車」。

 受賞の感想を聞かれると、「正直まだよく分かっていないまま、あれよあれよでここに来ているので、困ってます」と率直な心境を明かした。これまでメディアにはあまり登場してこなかった。「嫌だなと思ってます。職業上の理由でした」と明かした。

 仕事を終えて帰宅してから受賞の一報を聞いた。普段は午後8時には就寝するという。会見が行われたのは午後8時前後であったが、「意外とまだ眠くないなという感じです」。家族の受け止めについては「妻は、よかったねというところで、上の子はポケモンをやっていて、伝説のポケモンをゲットする最中だったので、見向きもしてくれなかったですね。下の子には、このあとちょっと行くからと言ったら、泣き通しだったので妻には申し訳なかったと思います」と話した。

 公の場はほとんど出ないそうで、「感謝の気持ちでいっぱいです。賞を受賞してこういった場に引きずり出される経験はなかったので、なんと言っていいのか。まだ実感が。多くの人に読まれたらいいなと思いますが、読まれているというリアルな実感は正直感じていないです。こういう機会をいただけてありがたく思っています」と語った。今後も作家との兼業でやっていくのかを聞かれると、「そうですね、はい」と答えた。

 今回の作品での受賞について聞かれると、「大前提として書いているときの自分と、この場で話している自分が合致していないので、うそも混じっている可能性も極めて高いかなと思います。書いていたときのことを思い返そうとすると、自分に書くうえで足りないものを、掘り下げたいと思って書きました。長くなるので以上です」。掘り下げたいものを問われると、「人です」と答えた。

 今後の抱負。「作品を書くにあたってはどうしても集中しなきゃいけないんです、私の中では。変わることはあると思います。書いていくもの、テーマの振れ幅はあると思います。変えちゃいけないものを変えずに、このあとも引き続き書いていこうと思います」と力強く語った。

 司会者から最後の言葉を求められると、「特にないです」と言い、会見場を後にした。

 直木賞は今村翔吾氏(37)の「塞王の楯」(集英社)、米澤穂信氏(43)の「黒牢城」(KADOKAWA)でダブル受賞となった。

 正賞は時計、副賞は賞金100万円。贈呈式は2月下旬に都内で行われる。

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