難病と闘う猪木の姿に一喜一憂した2021年 波乱続きのプロレス界を総括する【連載vol.75】

今年のマット界を振り返る、恒例の年末イベント「チェックマンと魔人のためのプロレス・トークライブ28~2021年プロレス500大ニュース」にスペシャルゲストとして飛び入り参戦した。

ドクター水上(右)のコアな振り返りに会場は沸いた【写真:柴田惣一】
ドクター水上(右)のコアな振り返りに会場は沸いた【写真:柴田惣一】

毎週金曜日午後8時更新「柴田惣一のプロレスワンダーランド」【連載vol.75】

 今年のマット界を振り返る、恒例の年末イベント「チェックマンと魔人のためのプロレス・トークライブ28~2021年プロレス500大ニュース」にスペシャルゲストとして飛び入り参戦した。

 大日本プロレスのリングドクターを務めるドクター水上が1500枚もの膨大なスライドを元に、独自の視点で解説を加えていく。アブドーラ・小林の脳天から取り出した竹串の写真など衝撃シーンの振り返りや、プロレス観戦ツアー中に見つけた面白場面など、硬軟織り交ぜトークは熱くなるばかりで予定時間を大幅にオーバー。例年通り1年を網羅することはできなかった。とはいえ会場に詰め掛けたドクター水上ファンは大満足の様子だった。

 レギュラーパネラーの志生野温夫アナ、登坂栄児・大日本プロレス社長、鈴木健txt.氏、橋爪哲也氏に、今年は松本都(崖のふちプロレス)が初参戦。時折、鋭い突っ込みを入れ、松本は生歌を披露するなど、大いに盛り上がった。

 イベントでも振り返ったが、長引くコロナ禍もあってか、2021年も波乱続きだった。ここにきて全日本プロレスの3冠王者ジェイク・リーが鼻骨骨折、左眼窩(がんか)内側壁骨折のため負傷欠場。復帰の時期が不明のため、3冠王座は返上となり、新春1・2東京・後楽園ホール大会で決定していたデスマッチ戦士アブドーラ・小林(大日本プロレス)との防衛戦が中止となってしまった。

 全日革命を進めていたジェイクの無念さは推し量るすべもないが、小林も入門志願を断られた全日本の看板タイトルへの挑戦に張り切っていただけに、振り上げたこぶしの持って行き場に困ったことだろう。それでも小林は「俺はジェイクの持つ3冠王座だったから名乗りを上げた。だから今回は、アイツの復帰を待つ」と大人の対応。楽しみにしていたファンのために、伊東竜二、関本大介とトリオを結成し、全日マットに乗り込むという。

 思えば新日本プロレスのG1クライマックス決勝戦で、飯伏幸太が負傷により試合途中でレフリーストップ負けしたこともあった。いくら鍛え上げ、万全の準備を整えてリングに上がっても避けられない思わぬアクシデント。プロレスとプロレスラーの厳しさを改めて思い知らされた。

 もちろん、あくまでそれらはまれなこと。熱闘の連続であり、武藤敬司らベテランたちがタイトル抗争の最前線で暴れまわるなど、リビングレジェンドたちの復活もうれしい限り。無論、今が全盛期の選手たちが黙っているはずもなく、22年は世代闘争がさらに燃え上がるはず。

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