松山ケンイチが明かす2拠点生活「変な情報で変に傷つかなくてもよくなった」

2021年の映画主演男優賞は「BLUE/ブルー」(吉田恵輔監督)の松山ケンイチ(36)だと思っている。負け続けても挑み続けるボクサーを好演。そんな松山が22年1月のスタートに選んだのが舞台だ。「hana-1970、コザが燃えた日-」(1月9日~30日、東京・池袋・東京芸術劇場プレイハウス)は沖縄返還50周年の記念作で、激動の時代の家族の物語だ。

松山ケンイチが22年のスタートとして挑むのは、沖縄返還50周年の舞台だ【写真:山口比佐夫】
松山ケンイチが22年のスタートとして挑むのは、沖縄返還50周年の舞台だ【写真:山口比佐夫】

1970年のコザを舞台にした物語「hana」9日に開幕、舞台は「怖いし、しんどい」

 2021年の映画主演男優賞は「BLUE/ブルー」(吉田恵輔監督)の松山ケンイチ(36)だと思っている。負け続けても挑み続けるボクサーを好演。そんな松山が22年1月のスタートに選んだのが舞台だ。「hana-1970、コザが燃えた日-」(1月9日~30日、東京・池袋・東京芸術劇場プレイハウス)は沖縄返還50周年の記念作で、激動の時代の家族の物語だ。(取材・文=平辻哲也)

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「hana」は戦争に翻弄(ほんろう)される人々の姿を見つめてきた作・畑澤聖悟&演出・栗山民也の名コンビによる本土返還直前の1970年のコザを舞台にした物語。松山は、育ての親(余 貴美子)の期待を裏切って、アシバー(ヤクザ)となる主人公ハルオを演じる。

「沖縄にロケで行ったことはありましたが、コザ騒動自体を詳しく知らなかったし、沖縄の人たちが日本に対してどういう思いだったのかも知らなかった。戦後、戸籍を無くした人々が寄せ集めの家族を作って生きてきたことにもびっくりしました。激動の時代の悲惨な状況の中でも人の温かさというものもあるし、幸せみたいなものも感じる。すごく好きな台本です」

 沖縄の悲しい歴史に直接触れたのは20代初めのころだった。「『男たちの大和/YAMATO』という映画に出たときに、戦争について調べたこともあって、ひめゆりの塔に行ったんです。記念館にも入ったんですが、米軍に蹂躙(じゅうりん)されたような歴史も知って、苦しくて最後まで展示を見られなかった」と振り返る。

 映画、ドラマと映像の世界を主戦場にしてきた松山にとって、劇団☆新感線「髑髏城の七人」Season風(2017年9~11月)以来の舞台。これが自身のターニングポイントになると捉えている。

「どの作品もそうですが、目の前に来たものと向き合わないといけない気がするんです。沖縄返還50周年を機にこの舞台をやる。これを見ないふりしちゃいけない。今度でいいかなと先延ばしにしたり、見ないふりする、ふたをする、そういうことしてはダメだ、と」

 舞台は「怖いし、しんどい」と正直な気持ちも吐露する。「映画と違って、このワンカットさえ乗り切れば、ということもない。映像だと、メイクしてもらって、照明やカメラワークに助けられることもあります。もちろん、舞台も、衣装、メイク、セット、照明もあるんですが、自分たちで表現する幅が広い。だから、どれだけ人としての力があるのか、と試されているようにも感じています」。

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