DDTのカリスマ・佐々木大輔のCyberFight改革プラン 新日との対抗戦拡大訴え【連載vol.74】
DDTのUNIVERSAL王者・佐々木大輔の無法が続いている。12・26東京・後楽園ホール大会で、高梨将弘の挑戦を受けるが、調印式をかき乱すなどやりたい放題。「このベルトを輝かせたいんだ。王者としての責任感だな」とうそぶく。
毎週金曜日午後8時更新「柴田惣一のプロレスワンダーランド」【連載vol.74】
DDTのUNIVERSAL王者・佐々木大輔の無法が続いている。12・26東京・後楽園ホール大会で、高梨将弘の挑戦を受けるが、調印式をかき乱すなどやりたい放題。「このベルトを輝かせたいんだ。王者としての責任感だな」とうそぶく。
UNIVERSAL王座は、DDTの海外戦略の一環として2020年に初代王者が誕生。世界各国から広く挑戦者を募り、シングル戦線の活性化をも見据えたものだ。ところが、折しもコロナ禍に見舞われ、世界マット界との交流も思うようにはいかなかった。
それでもクリス・ブルックス(初代、3代)、上野勇希(4代)、そして佐々木(2代、現5代)と、歴代の王者たちは奮闘し、シングル戦線の活性化は果たしている。それでも佐々木は納得せず「このベルトをもっともっと俺がまぶしくしてやる。そのためには、どんどん仕掛けてやる」と力説する。
調印式にも「出席しない」と最初は姿を見せなかった。挑戦者の高梨もバリヤンアッキを自身に仕立て上げ、送り込んでいた。まさに、化かしあい。丁々発止のやりとりが展開された。
実は調印式の10日ほど前にチョコレートプロレスに参戦した高梨に、佐々木は“テロ襲撃”をしていた。自身の悪行は棚に上げ「レベルの低い仕掛けしかできないやつは、ぶっ殺す」と言いたい放題である。
しかもチョコレートプロレスのホームグラウンドが東京都心の市ヶ谷とあって「あそこは土地がもったいない。あの物件の大家になってやる。有効活用してがっぽりもうけてやる」と勝手なプランをぶち上げる始末だ。
厳粛であるべき調印式でも自らブーツを脱ぎ高梨を痛打した。「固いんだよね。ブーツって」と楽しそうに振り返る。高梨を「アイツ、一筋縄でいかない。時々、やられた、と思わされる。油断はできない」からの狼藉(ろうぜき)。手段は選んでいられないのだ。
自ら結成していた軍団・DAMNATIONは解散に追い込まれた。メンバーの一員だった遠藤哲哉はBURNINGを結成した。小橋建太氏のお墨付きをもらい秋山準を参謀役にしている。全日本プロレス、ノアを席巻した軍団名を受け継いだ遠藤に、佐々木は「アイツは自分を失っている。すぐに解散だな。追い出されて泣きついてきても、出戻りは絶対に許さない」と手厳しい。
独りぼっちになった佐々木はDAMNATION T.Aを新たに立ち上げた。「DAMNATIONとは地獄に落ちた状態のこと、天罰、神の呪い、ののしり…。この世は地獄なんだ。気に入っているから残したい」と、ここはこだわっている。現在はMJポーと2人だが「4人はほしい。スカウト活動を進めている」と軍団拡張に自信をほのめかした。
佐々木の触手はさまざまな方向に延びている。「外国人選手をDAMNATION T.Aに加えたい。そのためにも、今こそ、UNIVERSAL王座の原点に戻って、海外遠征もしたい」とぶち上げた。
世界の現状は厳しい限りだが、22年には世界を相手にするつもりだ。「高梨を一ひねりして、国内は今年で一区切り。来年はコロナのない国で防衛戦を重ねたい」と真顔だが、どこまで本気なのか、つかみどころのない佐々木だ。
同じCyberFightグループのノアが新日本プロレスの対抗戦(1・8横浜アリーナ)に乗り出したが「俺たちの出番はないのか。若いころに新日本のリングに上がったことがある。いつでもいいぜ!」と前向きそのもの。「俺なら海外の団体も巻き込んで、世界的規模の対抗戦にしてやるぞ」と、どこまでもスケールがデカい。
ジャケット姿で調印式に臨んだ他のチャンピオンたちを横目に、革ジャン、ジーンズ姿の佐々木。「これが俺の正装。俺の生き方」と胸を張った。