【二月の勝者】「経済的理由で受験を諦めなくていい」 開成の奨学金制度は実際にあった

 俳優の柳楽優弥が主演する日本テレビ系連続ドラマ「二月の勝者‐絶対合格の教室-」(毎週土曜、午後10時)の第8話が4日に放送された。激変する受験界に舞い降りた最強で最悪のスーパー塾講師・黒木蔵人が中堅進学塾・桜花ゼミナールの校長として小学生の中学受験合格を導く痛快ドラマ。この日は経済的理由で受験を断念する家庭に対し、黒木が解決策を提案する場面が描かれた。コロナ禍で生活に困窮している世帯が増えるなか、ネットでは黒木の情報提供を評価する声が上がっている。

「二月の勝者」に主演している柳楽優弥【写真:荒川祐史】
「二月の勝者」に主演している柳楽優弥【写真:荒川祐史】

年間所得218万円以下または給与収入額400万円以下の世帯の子弟

 俳優の柳楽優弥が主演する日本テレビ系連続ドラマ「二月の勝者‐絶対合格の教室-」(毎週土曜、午後10時)の第8話が4日に放送された。激変する受験界に舞い降りた最強で最悪のスーパー塾講師・黒木蔵人が中堅進学塾・桜花ゼミナールの校長として小学生の中学受験合格を導く痛快ドラマ。この日は経済的理由で受験を断念する家庭に対し、黒木が解決策を提案する場面が描かれた。コロナ禍で生活に困窮している世帯が増えるなか、ネットでは黒木の情報提供を評価する声が上がっている。

(※以下、ドラマの内容に関わる記述があります)

 お金がないから受験や進学を諦める――。そんな家庭があることを誰もが知っているはずだ。4日に放送された「二月の勝者」の第8話では、生活困窮家庭の受験について有益な情報が提供された。

 中堅受験塾「桜花ゼミナール」のトップ「Ω(オメガ)クラス」に在籍する生徒・島津順の家庭では受験勉強の方法をめぐって父親の弘(金子貴俊)が順に威圧的な態度をとったり母親の優子(遠藤久美子)に暴力をふるったりするなどDV(ドメスティック・バイオレンス)が深刻化していた。

 優子に手を上げた弘の粗暴ぶりに怒った順は、ついに弘を突き飛ばしてテーブルをひっくり返すなど大暴れ。弘が警察を呼ぶ騒動となり、黒木が島津家に急行する姿も描かれた。呆然と座り込む弘が「あいつは受験をなめている」と言い放つと、黒木は「あなたの大学受験は18歳、順さんはいま12歳です。40キロそこそこの体重で10キロ近い勉強道具を背負って毎日塾に通っています。こんな重たい荷物を欠かさず背負ってたんだな、と一言声をかけてあげることはできませんか」と諭すように語った。

 結局、優子は順と一緒に実家に避難。つかの間の平和が戻ったが、順は塾を休むことになり優子も離婚を決意。弘からの押しつけ受験への反発や収入減などの理由で優子は順の中学受験を諦めてしまいそうになる。しかし、順は開成合格を夢みていた。

 一方、「桜花ゼミナール」では保護者面談を実施しており、黒木はそれぞれの親の希望や家庭の事情に合わせたプランを提案。島津家に対しても完璧なプランを準備した。それは経済的な事情で学費が払えなくても開成中学に通える方法だ。

 劇中で紹介された「開成会道灌山奨学金」は実際に存在している。同校公式ホームページには「開成中学校・高等学校で学びたいにも関わらず、経済的理由でそれを断念している志ある若者を迎えるため、開成学園の同窓会である開成会の寄付により、入学金、授業料等を免除する奨学金です」との説明がある。

 中学校の場合は出願前に申請を行い、奨学金申請の有無は入学試験の合否にまったく関係しないという。応募資格は年間所得218万円以下、または給与収入のみの場合は400万円以下の世帯の子弟で、募集枠は中学校、高等学校各10人程度。入試に合格したら必ず開成中に入学することが条件だ。

 黒木の提案にネットでは「奨学金制度の情報を提供してもらうのも塾に通うメリット」「開成のこの奨学金、本当にあるんだよね。いい学校」「経済的理由で受験を諦めた島津君に開成の奨学金制度を勧めた黒木先生、素晴らしい」「学費全額免除の奨学金制度、マジだった」「低所得の家庭の救済があるんだ。開成に行かせてあげたい」などの声が上がっている。

 開成は2021年の東大合格者が144人で40年連続トップという不動の強さを誇っているが、その東大(大学院含む)にも入学料や授業料の免除制度がある。申請資格は、経済的理由により納付が困難であったり、申請者もしくは学資負担者が風水害等の災害を受け納付が著しく困難であると認められた者。教養学部、総合文化研究科、数理科学研究科在籍の場合は駒場キャンパスの東京大学教養学部等学生支援課奨学資金チーム、それ以外の学部・研究科の場合は本郷キャンパスの東京大学本部奨学厚生課奨学チーム(学費免除担当)が窓口になっている。

 島津家の騒動はコミックの8巻と9巻で描かれており、奨学金制度のある私立中堅校や学費が安い国公立の中高一貫校の受験対策も紹介されている。お金がない、という理由で親が子どもの受験や進学を諦めてしまうケースが多々あるが、入学金・授業料免除や奨学金という仕組みを利用すれば勉強したいという子どもの夢をかなえることも可能だ。第8話は塾講師が生徒の家庭に介入することの是非がテーマだったが、こういう介入なら大いに有意義だ。

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