おかもとまり、芸人引退後は子育てと仕事を両立 ものまねは「息子を笑顔にできれば十分」
ものまね芸人として一世を風靡(ふうび)し、2018年に引退してからはクリエーターとして活躍するおかもとまりさん(31)。シングルマザーとして6歳の男の子の子育てに励み、芸能界で学んだことを糧に仕事を多角展開している。「子どものために」を信条とするパワフルな生き方、波瀾万丈の人生について聞いた。
2010年前後にブレーク、18年にものまね芸人の活動を引退
ものまね芸人として一世を風靡(ふうび)し、2018年に引退してからはクリエーターとして活躍するおかもとまりさん(31)。シングルマザーとして6歳の男の子の子育てに励み、芸能界で学んだことを糧に仕事を多角展開している。「子どものために」を信条とするパワフルな生き方、波瀾万丈の人生について聞いた。(取材・文=吉原知也)
芸能界デビューは16歳。地方テレビ局のアイドル番組出演がきっかけだった。競合ひしめくバラエティー番組のオーディションで苦戦する中で、同年代の女性に勝つためには「一発芸なら違いを見せられるかも」と発想を転換した。もともと、他人の表情やしぐさを覚えることが得意だった。地元の友人から「しゃべり方が似ている」と評判だったスザンヌのものまねを審査の場でやってみたところ、「ウケた」。鳥居みゆきなどレパートリーを増やしていった。世間の印象に最も残っているのが、広末涼子だろう。「短大時代の夏休みに、広末さんの出演映像を見まくりました」と習得。ものまね芸やものまねメイクで、2010年前後にブレークした。
そのころ、グラビアにも挑戦した。元々はアイドルの肩書きでものまね番組に出演し、その番組を見たとある雑誌からオファーが来たが、「いざ自分のグラビアページを見たら、肩書きが『アイドル』から『かわいすぎる芸人』に変わっていました。いつの間にかそうなっちゃって…」。こうして、“芸人・おかもとまり”が誕生した。
人気が上がるにつれ、ものまね芸のハードルは高まっていった。旬なタレントのまねを求められるプレッシャー。しゃべりのプロたちが集まるバラエティー出演時には、視聴者が求めるコメントとスタッフが思い描く流れのはざまで悩むこともあった。「テレビで本音を言うことが怖くなったり、あれこれ考えすぎて、何もしゃべれなくなった」ことも経験したという。
芸の世界で鍛えられながら充実した日々を送っていたが、プライベートの事情があって、18年春にものまね芸人を引退した。直後に心の病のため3か月間入院。自分自身を見つめ直し、「頑張りすぎない」「過去や未来にとらわれずに“今”を生きること」を悟った。入院中、両親以外は会えない環境だったこともあり、15年に出産した息子とは一時的に離れ離れに。改めて「子どものために生きる」と思いを深めた。
現在はフリーとして、広告タイアップのメイク動画の納品やYouTubeでの“ものまねメイク配信”、講演会活動、そして、映画やアニメの企画・制作の3本柱で生計を立てている。映像作品の制作は、原案から資金集め、キャスティングまでを裏方として取り組む。
1日は忙しいが、効率的な時間配分で子育てと仕事を両立。平日の朝は6時起きで食事・掃除・洗濯、息子を保育園に送り出すと、午前9時30分から午後4時までが主なワーキングタイム。自宅のスタジオ部屋で自ら撮影・編集を手掛ける。その後に息子を連れて帰ってくると、勉強を教えて一緒に風呂に入りご飯を食べさせ、息子を寝かせた後はヨガや筋トレで心身を整え、午前0時ごろに就寝している。