飲食店の6割強で人手不足が深刻化 人流抑制の緩和で人出増加も追いつかず
10月から最低賃金が引き上げとなり、緊急事態宣言などの解除で人流抑制策が全国で緩和されつつあるなか、飲食店などの個人消費関連の業種では再び人手不足が問題となっている。そんななか、帝国データバンクが人手不足に対する企業の見解について調査。飲食店の6割強でアルバイトやパートなどの人手が足りていない実態が明らかとなった。
全国の2万4052社を対象に人手不足に対する企業の見解について調査
10月から最低賃金が引き上げとなり、緊急事態宣言などの解除で人流抑制策が全国で緩和されつつあるなか、飲食店などの個人消費関連の業種では再び人手不足が問題となっている。そんななか、帝国データバンクが人手不足に対する企業の見解について調査。飲食店の6割強でアルバイトやパートなどの人手が足りていない実態が明らかとなった。
調査は2021年10月18日~31日の期間、全国の2万4052社を対象に行い、回答率47.1%の1万1332社から有効回答を得た。なお、雇用の過不足状況に関する調査は06年5月より毎月実施しており、今回は21年10月の結果をもとに取りまとめた。
調査の結果、アルバイトやパートなどの非正社員が不足している企業は25.1%に上り、特に10月から営業時間の制限が段階的に解除となっている居酒屋などの「飲食店」では、非正社員の人手不足割合が63.3%と前月の44.1%から急上昇。また、アパレルなどの「繊維・繊維製品・服飾品小売」では前月比13.8ポイント増の47.1%、「旅館・ホテル」では同22.3ポイント増の35.9%と、個人消費関連の業種で非正社員の人手不足が10月に大きく高まっている。
また、正社員が不足している企業は43.8%で、正社員の人手不足割合は20年5月の29.1%を底にして上昇傾向が続いており、50.1%だった2年前の水準に近づきつつある。業種別にみると、「農・林・水産」が64.2%と51業種中で最も高い割合で、次いでIT人材の不足が影響している「情報サービス」が63.9%、職人の高齢化などが懸念される「建設」が62.1%と続いた。
緊急事態宣言などの解除で人流抑制策が緩和され人出が増加するなか、10月は特に個人消費関連の業種で人手不足感が急上昇。また、「農・林・水産」「建設」など、以前から社員の高齢化などで人手不足が高水準にあった業種でも、足元で再び高まりつつある。「デジタル化も重要ではあるが、外食産業としては、今後の労働力減少を見据えたロボット化も併せて進めていく必要がある」(調査に協力した西洋料理店)との声もあるように、今後の労働人口の減少を見据えた省人化への取り組みは、重要性がより高まっているといえそうだ。