ドタバタ『熱海国際映画祭』に行ってみた…桃井かおりもホッ「開催できて、よかった」
『第2回熱海国際映画祭』が6月28日、静岡・熱海市内で開幕し、『熱海起雲閣』でレッドカーペット&セレモニーが行われた。
大幅赤字や不適切な会計処理で主催の熱海市と企画運営会社が対立
『第2回熱海国際映画祭』が6月28日、静岡・熱海市内で開幕し、『熱海起雲閣』でレッドカーペット&セレモニーが行われた。同映画祭は昨年6月に第1回が開催されたが、その後、約1465万円の大幅な赤字や不適切な会計処理など問題が次々と明るみになり、主催の熱海市と企画運営会社が対立。熱海市は第2回の中止を発表したが、運営会社側が規模を縮小し、独自開催することを発表。その後の顛末が注目されていた。
午後5時前、新たに会場となった『熱海起雲閣』の玄関前では2名のスタッフが慌てて、レッドカーペットを敷き、強風に飛ばされないように路傍の石を置いて対処するというドタバタぶり。渦中の映画祭の開幕を見届けようと、在京キー局のワイドショーを含む20人以上の取材陣が集結した。ただ、周知が行き届いていなかったため、映画祭を見ようというファンはほとんど皆無で、関係者だけの寂しい幕開け。そんな中、審査員を務める女優・桃井かおり、招待作品の監督、出演者らが楽しげに歩いてみせた。
女優として『SAYURI』(05)などハリウッドで活動しつつも、クリエーターとしては低予算の苦労を経験してきた桃井。前日まで映画祭をめぐる騒動をまったく知らなかったそうで、「とにかく開催されて、本当に良かったなと思っています。若いクリエイターたちには、映画祭は大事な存在です。映画祭がないと、なかなかチャンスをつかめないので」と話した。
イッセー尾形が昭和天皇、桃井が皇后を演じたロシア映画『太陽』(2005年、アレクサンドル・ソクーロフ監督)や、自身が監督・脚本・主演の3役をこなした『火 HEE』(2016年)では世界三大映画祭のベルリン国際映画祭に参加している桃井。世界中の映画祭を見知っているが、「映画祭はどこも大変なんですよ。だから、あんまりびっくりしない。ベルリンに呼ばれた時も、飛行機代も出してもらえなかった」と明かした。
映画祭の今後についても「とにかく、やれているから。今日やられたから、よかったなと思っています。3、4回と続いていき、10回続けていくことができれば、老舗になっちゃったりするわけです。昨日、1日早く熱海に来て、町をぶらぶら歩いて、3軒ぐらい飲み歩いたけれど、熱海は、料理が美味しいし、人もいい。素敵なところだから、ここに人が集まるのはいいと思います。それには、ボランティアの皆さんの力にかかっている」と裏方の苦労を慮り、エールを送っていた。
映画祭は6月30日まで行われる。