コントと思われないか、俳優・塚地武雅の葛藤「芸人であることが邪魔にならへんか」

人気お笑いコンビ「ドランクドラゴン」の塚地武雅(49)が、加賀まりこ主演の映画「梅切らぬバカ」(11月12日公開、和島香太郎監督)で自閉症の息子役を演じた。庭の大きな梅の木に守られながら、生きる母子の物語。映画、ドラマで存在感を見せるが、ルーティンにこだわる自閉症の息子役は挑戦だった、と語る。今月50歳の節目を迎える塚地が、今の心境を明かした。

自閉症の息子役で出演する映画「梅切らぬバカ」について語った「ドランクドラゴン」塚地武雅【写真:舛元清香】
自閉症の息子役で出演する映画「梅切らぬバカ」について語った「ドランクドラゴン」塚地武雅【写真:舛元清香】

映画「梅切らぬバカ」で自閉症の息子役「めちゃくちゃ悩みました」

 人気お笑いコンビ「ドランクドラゴン」の塚地武雅(49)が、加賀まりこ主演の映画「梅切らぬバカ」(11月12日公開、和島香太郎監督)で自閉症の息子役を演じた。庭の大きな梅の木に守られながら、生きる母子の物語。映画、ドラマで存在感を見せるが、ルーティンにこだわる自閉症の息子役は挑戦だった、と語る。今月50歳の節目を迎える塚地が、今の心境を明かした。(取材・文=平辻哲也)

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 本作は占い師の珠子(加賀)と中年になった自閉症の息子、忠さん(ちゅうさん)こと忠男(塚地)の物語。引っ越して来た隣人(渡辺いっけい、森口瑤子)から、庭木が邪魔との苦情を受けて、珠子は大きく育った梅の木を切ることを決意する……。

「間宮兄弟」(2006)では佐々木蔵之介とのダブル主演に抜てきされ、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の賞を受賞し、その後も数々の俳優経験もある塚地だが、自閉症の忠さん役を引き受けるまでは悩んだという。

「本当に難しいテーマですし、難しい役どころやから、めちゃくちゃ悩みましたね。僕自身はお笑い芸人でもあるから、コントじゃんと思われないかなとか。役を演じる上で芸人であることが邪魔にならへんかな。無名の俳優さんがやった方が本当に見えるんじゃないかなと思ったりしました。けど、監督の作品にかける思い、経緯を聞いて、そこまで言ってくれるなら、その気持ちの方に応えたいと思ったんです」。

 初めての難役に、今までにない役作りもした。「ドキュメンタリーの自閉症の方の映像を見たり、グループホームを見学させていただき、テーブルを囲んで時間を共有したり、その職員の方にお話聞いたり、その親御さんにお話を聞いたり……。本当にたくさんの自閉症の方々を見て、聞いて、忠さんにはどういった感じの症状、癖があるんだろうと思い、とにかくもう真摯に向き合った感じですかね」。

 第一関門は役柄の印象づける最初の撮影だった。「2つ目の撮影で、母子でのシーンがあったんです。朝、起きました、服を着替えます、歯磨きして、食卓でご飯食べて仕事に出かけていく。いわゆる、ルーティンです。その中で加賀さん演じるお母さんがこういろいろサポートしてくれたり、話しかけてくれたり、こぼれた食べカスをふいてくれたり。いきなり、これなんだなって、思いました。最初から最後まで、こうすれば、いいんだと。変わらずにいることを大事にしたら、急に楽になりました。僕は、芝居のヤマを考えなくていい。周りの役者の方が作ってくれるんだ、と」。

 母親役の加賀とは初共演。「女優さんとしてのキャリアはもうすごいですし、バラエティーに出てきても、さらっと何でも言うタイプの人だから、どことなく怖いのかもみたいな感じから入りましたけど、そんなことはありませんでした。観てくださった方からは、親子にしか見えないって。加賀さんと僕を撮ってくれた写真がポスターに使われているんですけども、うちの母が見たら、嫉妬しますね。こんないい写真を撮ったことがないから」。

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