俳優の大倉孝二が、このほど大隈重信役で出演するNHKの大河ドラマ「青天を衝け」（日曜午後8時）の取材会に出席し、役への思いや見どころを語った。多弁な主人公・渋沢栄一（吉沢亮）を言い負かすほど弁が立ち、言葉の最後には「であーる」という言い回しが特徴的に描かれるユニークなシーンが視聴者に好評だ。

「口ぐせで（『であーる』が）あったということは知っていました。どこまでやるかは現場次第と思っていて、監督から結構、際立たせてほしいというお話があったので探りながらやらせていただきました」

　渋沢との会話では興奮すると声が裏返りそうになるコミカルさもあり、視聴者に好評だ。役を楽しんでいるようにも感じる。

「全然、楽しく演じてないです（笑）。必死だったんです。基本的にあの（渋沢との）シーンは最初から終わりまで全部通してやるんです。途中で止めないで何度もやったので、すごい緊張感でした。その僕の必死さも表れていたと思いますし、自分がどうこうではなく吉沢君（渋沢）の心を動かすことができれば、ということに尽力しました。それがお芝居に表れていたらうれしいです」

　渋沢の心をとらえるために大倉なりのポイントをどんなところに置いて演じたのか。

「その時代の背景を知識として事前に少し入れておきました。細かい演技でどうこうできることでもないので、熱量を信じ、目の前の吉沢君に伝わらなければ見ている方にも伝わらないという思いで必死にやろうと心掛けました」

　大隈について調べたようだが、どんな印象を抱いたのだろうか

「ちょっと天真らんまんなところがあったり、民衆に愛されたというワードが多かったので、少し自分でも『あり』の可能性が出てきたと思いました。あまり立派な役柄は自分で大丈夫か怪しいところがあるので（笑）」

　何かで読んだとして、大隈は大ざっぱで、ピンチになってから慌てて対処するタイプだったというエピソードも紹介。

「親近感を覚えます。親しみやすい部分はやらせていただく上で、自分の中に落とし込んでやっているかもしれません。それがにじみ出ればいいな」

　今後の大隈の見どころも紹介してくれた。

「恒例のように渋沢との言い合いは、まだまだ出てくるので、おなじみ、みたいな感じで皆さんに楽しんでもらえたらうれしいです。『であーる』も出てきます。（第28回では）3回続けて言っているような編集もされて、『なんじゃこれは！』とびっくりしました（笑）」

　大隈との共通点やシンパシーを感じたことにも言及。

「大隈重信さんへの悪口になってしまいそうで怖いですが、ある意味、ちょっとざっくりしたところはシンパシーを感じます」