“熱海でリモート”は本当に快適なのか 現地体験で分かった注意点 かけ流し温泉は最高
コロナ禍が続く中、会社に出勤しないテレワーク(リモートワーク)という働き方が注目を集めている。中には風光明媚(めいび)な観光地やリゾート地で暮らすワーケーションを選ぶ人も多いだろう。ワーケーションとはワーク(仕事)とバケーション(休養)を組み合わせた造語で、理想的なライフスタイルともされる。国内屈指の温泉観光地である静岡県熱海市はワーケーション候補地として人気が高く、地元不動産業者は「コロナ禍になって以来、別荘・マンション物件の問い合わせが増えています」と話す。しかし、実際に熱海でワーケーションしてみたところさまざまな問題点が浮かび上がった。【ルポ熱海】
土石流災害余波で破格の1泊2000円も登場 全体的には値崩れ限定
コロナ禍が続く中、会社に出勤しないテレワーク(リモートワーク)という働き方が注目を集めている。中には風光明媚(めいび)な観光地やリゾート地で暮らすワーケーションを選ぶ人も多いだろう。ワーケーションとはワーク(仕事)とバケーション(休養)を組み合わせた造語で、理想的なライフスタイルともされる。国内屈指の温泉観光地である静岡県熱海市はワーケーション候補地として人気が高く、地元不動産業者は「コロナ禍になって以来、別荘・マンション物件の問い合わせが増えています」と話す。しかし、実際に熱海でワーケーションしてみたところさまざまな問題点が浮かび上がった。
年間宿泊客数300万人を誇っていた熱海は新型コロナウイルスの影響で昨年は前年比約4割減の185万人余りにとどまった。書き入れ時のこの夏は、7月に伊豆山地区で発生した土石流災害のためさらに客足が遠のき状況が悪化。熱海駅前のアーケード街や土石流の影響で流木が漂着し遊泳禁止となっていた熱海サンビーチは閑散としており、大打撃を受けている様子があらわとなっている。
コロナと土石流災害のWパンチを受けた熱海だが、ホテル宿泊費が軒並み値崩れしている、といった状況には至っていない。その理由について地元の観光業者は「熱海は食事を出す観光ホテルや旅館がほとんどなので食事提供のスタッフや仕入れ業者をそろえておくための経費がかかり、客室料金を大幅に引き下げることができないのです」と明かす。大幅値引きで客を増やす選択については「お客様が増えると食事の際、会場が混雑して“密”になってしまうおそれがあります。コロナ対策をしっかりするうえでも、お客様の数を大幅に増やすことはできません」とジレンマを語った。
ビジネスホテルはテレワーク客で人気
それではビジネスホテルはどうか。熱海駅のすぐ近くに東横インと4月にオープンしたプリンススマートイン熱海があるが、大手旅行サイトで調べるとそれぞれ1室6000円台後半、7000円台前半が安値の限界で値崩れ状態とは言えない。今月上旬の天候不順で1泊2000円という破格のプランを売り出す中堅ホテルもあったが、すぐに埋まったのか現在は4000円台に戻っている。
大手観光ホテルの従業員は熱海のビジネスホテル事情について「テレワークのお客様が多いと聞いています。東京駅から新幹線で43分というアクセスの良さから熱海は人気ですし、ホテル内に温泉がなくても散歩するだけで観光気分は味わえますから」と説明した。
ところで、“熱海でリモート”は本当に快適なのか。実際に熱海駅から徒歩15分圏内の温泉宿に素泊まりして周辺を調査してみると次々と問題点が浮かび上がった。