「TOKYO MER」で好演・鈴木亮平の際立つ“演技力” 作品に向き合うストイックな姿勢
12日にクライマックスを迎えた日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(TBS系、午後9時)。重大事故、災害、事件の現場に駆けつけ、命を救うために危険な現場に飛び込んでいく救命救急チーム「TOKYO MER」が奮闘する様子が反響を呼び、今クールのドラマの中でも屈指の人気作となった。そこで主演の喜多見幸太を演じたのが鈴木亮平。その“演技力”が注目を集めている。
多彩な役どころに合わせた肉体改造、時には30キロの増量も
12日にクライマックスを迎えた日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(TBS系、午後9時)。重大事故、災害、事件の現場に駆けつけ、命を救うために危険な現場に飛び込んでいく救命救急チーム「TOKYO MER」が奮闘する様子が反響を呼び、今クールのドラマの中でも屈指の人気作となった。そこで主演の喜多見幸太を演じたのが鈴木亮平。その“演技力”が注目を集めている。
鈴木演じる喜多見は、驚異的な技術を持つ救命救急医で、混乱した状況でも的確に指示を出し、危険な状況でも冷静さを失わない屈強な姿がまぶしく映る。これまで、鈴木といえば、役づくりのために体重を大きく増減させて挑む、とにかくストイックなイメージが強くあった。2015年の日曜劇場「天皇の料理番」(TBS系)で秋山周太郎を演じた際は、病に冒されていくさまを見せるために、体重を76キロから半年で20キロも減量。亡くなる間際の頬がこけたビジュアルは、視聴者にも強烈なインパクトを与えていた。
一方で、映画「俺物語!!」(15年)では、演じる剛田猛男の原作での設定が身長2メートル、体重120キロという屈強な肉体の持ち主のため、自らトレーニングプランを作成し、体重を30キロも増量。撮影の合間にもプロテインを摂取し、就寝中に消化した分を補うため、夜中に起床して食事してまた寝るなど、たゆまぬ努力を重ねていた。後に放送された大河ドラマ「西郷どん」(18年、NHK)で、西郷隆盛を演じた際も25キロの増量を行っていたほか、日曜劇場「テセウスの船」(20年、TBS系)では、30代&60代の役と、1人2役を担当し、“年齢の増減”が取り上げられるなど、「外見」に関するトピックスには事欠かなかった。
それでもここに来て、「高い演技力」に改めて注目が集まっている。「TOKYO MER」での熱血漢ぶり(鍛え上げられた肉体を披露するシーンも存在)はもちろんのこと、8月より公開がスタートした「孤狼の血 LEVEL2」では、7年の刑期を終えて出所したやくざの組長・上林成浩を演じ、松坂桃李が演じる一匹狼の刑事・日岡と幾度となく対峙(たいじ)。目的を果たすために、非人道的な行いをいとも簡単に実行する姿に、ネットでは「鈴木亮平の悪役ぶりを楽しむ映画」「圧倒的な狂気が素晴らしかった」「上林を演じた鈴木亮平が怖すぎて、他のドラマを見ても上林が出てきちゃう」という感想が見られた。監督の白石和彌から「日本映画史に残る悪役に」とハッパを掛けられていたが、その期待に十分に応えていると言えよう。
今後、司馬遼太郎原作の映画「燃えよ剣」で新選組局長・近藤勇、「土竜の唄」シリーズの完結作「土竜の唄 FINAL」では長髪ヒールの“最凶の敵”轟烈雄(とどろき・れお)を演じることが決定しており、俳優としての階段を一歩一歩上がり続ける鈴木。転職サイトのインタビューでは、大学1年生のころから芝居にのめり込み、“就職活動”として履歴書を持って芸能事務所などを50社以上回り、「君には無理」と断られたという過去も明かしている。当初イメージしていた「クールな男っぽい役者」という俳優像からも遠ざかった。だが、役作りしかり、一つ一つの作品に真摯(しんし)に向き合う真面目さ、そこに現場で培った表現力の高さも加わり、頼もしさがグンと増している。これからは“演技”に関しての話題が次々と聞けることを楽しみにしたい。