初代タイガーマスクは“マスクマン生活”を楽しんでいた 秘蔵っ子タイガー・クイーンも話題
衝撃のデビューを果たした初代タイガーマスクの秘蔵っ子タイガー・クイーン。初代タイガー譲りのコーナーポスト最上段からのリングイン、軽快なステップ、ソバットに空中弾など、華麗かつ鋭い動きで、話題を独占している。
タイガー・クイーンの第2戦 新木場1stRING大会でワールド女子プロレス・ディアナの佐藤綾子が相手
衝撃のデビューを果たした初代タイガーマスクの秘蔵っ子タイガー・クイーン。初代タイガー譲りのコーナーポスト最上段からのリングイン、軽快なステップ、ソバットに空中弾など、華麗かつ鋭い動きで、話題を独占している。
いよいよ期待も膨らむ第2戦はストロングスタイル・プロレスの9月5日、東京・新木場1stRING大会。対戦相手はワールド女子プロレス・ディアナの佐藤綾子と決まった。佐藤は女子プロレス界のレジェンド・ジャガー横田のまな弟子である。
タイガー・クイーンと佐藤の激突は、男女プロレス界のレジェンドの弟子対決であり、虎VSジャガーの猛獣決戦ともいえる。タイガー・クイーンの真価が問われる一戦とあって、注目度は急上昇。見逃せないが、となると、いよいよ気になるのはマスクの下の素顔だ。
初代タイガーもデビュー当初、正体はもちろん、国籍も不明とあって、言葉を発することもなく会場から姿を消していた。
時間がたつにつれ、日本語でのインタビューにスペイン語で答えるなど、日本語を理解しているのでは? というような不思議な光景もあったが、SNSも発達していない時代。幻想が膨らみ、それがかえってさらなる人気を呼んでいた。
その後、佐山聡と素性も明らかになったが、ちゃめっ気たっぷりでイタズラ好きの佐山である。楽しいエピソードを残している。
都内近郊の大会では、道場から出発する選手バスに加えて、個々に会場入りする選手もいる。ある日の新日本プロレス大会会場でのこと。初代タイガーの佐山がタクシーでやってきた。
車が到着するとワッと人々が集まって来る。車内をのぞき込んで、佐山が乗っていると、まだ素顔が知られていない時期とあって、初代タイガーとは気づかれない。「な~んだ」と、ファンは関係者でも見るようにガッカリして散って行った。「フフフ、誰も俺をタイガーとは気づかない」と、心の中でほくそ笑む佐山だった。
ただ、現在のプロレス会場から消えたダフ屋にまで「リングサイドあるよ~」「余り券あったら買うよ~」などと声をかけられると、さすがに苦笑いするしかなかった。
同じくタクシーで会場入りした木村健吾。これまたダフ屋に「余り券~」と、周りを囲まれてしまい「佐山はともかく、俺は素顔で試合していて、マスクマンじゃないんだけどな」と、何だかとても寂しそうだった。
当時、佐山は「覆面を脱いだら、誰も分からない。遊びに行くときも便利。人気があるのはうれしいけど、ゆっくり食事もできないからね。猪木さんや藤波さんなんか大変だろうな。俺、覆面かぶっていてよかったよ」と笑っていた。
その後も時々、素顔のままで会場にやってきた。「急いでいるときはいいよ。スムーズに会場に入れるから」と、マスクマンのメリットを力説していたのが、今となればとても懐かしい。
新型コロナウイルス禍でマスクは必需品だが、プロレスで「マスク」と言えば、あのマスクではなく「覆面」となる。諸説あるが、覆面をかぶっての試合はヨーロッパが発祥と言われる。その後、仮面を神聖視するアステカ文明の影響もありメキシコで広まったという。数々の素晴らしいデザイン、キャラクターを模した人気者などたくさんのマスクマンが、キラ星のごとくマットを彩って来た。
今までいろいろなマスクマンの素顔も見て来た。マスカラス兄弟は覆面を脱いだら、目の覚めるような色男だった。一方で「マスクマンになってよかったのではないか…」と、思えるようなレスラーも確かに何人かいた。
タイガー・クイーンの正体は? その素顔は? これこそプロレスの醍醐味(だいごみ)の一つ。今日も一緒にプロレスを楽しみましょう。