【追悼】日本が誇るアクションスター・千葉真一さんは少年の心でエンタメを愛した男だった

「まさかコロナで亡くなるとは……」とビックリした人もいるだろう。俳優の千葉真一さん(本名・前田禎穂=まえださだほ)が死去した。82歳だった。

千葉真一さん【写真:Getty Images】
千葉真一さん【写真:Getty Images】

出世作「キイハンター」で命がけのアクション! 少年たちのヒーローに

「まさかコロナで亡くなるとは……」とビックリした人もいるだろう。俳優の千葉真一さん(本名・前田禎穂=まえださだほ)が死去した。82歳だった。

 千葉さんは7月に新型コロナウイルスに感染。入院せず自宅療養を続けていたが、今月8日に症状が悪化したため千葉県君津市の病院に入院し、19日に死去した。ワクチン接種を受けていなかったという。

 1960~80年代の千葉さんの活躍を知るファンにとって、彼は“不死身”の男だった。体操選手として高校時代に全国優勝を果たし、日本体育大学に入学。ところが2年のとき練習中のケガで腰を痛めて中退。東映第6期ニューフェイスに応募して2万6000人の中からトップ合格した。極真空手四段、少林寺拳法二段の腕前を生かして、60年にNET(現・テレビ朝日)のドラマ「新 七色仮面」で主演デビュー。

 人気を不動のものにしたのが68年スタートの「キイハンター」(TBS系)だった。架空の組織・国際警察を舞台に、丹波哲郎(故人)、野際陽子(故人)、谷隼人(74)らが演じるキャラクターが難事件を解決するストーリー。千葉さんは元新聞記者の風間洋介を演じ、体操と武道で身につけた敏捷性を生かして、犯罪者を相手に所狭しと暴れまくった。そのため50代以上の人が「キイハンター」を話題にすると、今でも「千葉真一だろ」という声が上がる。

「まさに“千葉真一のドラマ”でした。スタントマンを使わず、体当たりで危険な撮影を敢行。川を流されるシーンでは共演者を演じた本職のスタントマンが滝つぼに落ちそうになり、千葉さんが両手で体をつかんで救った。その映像がドラマで放送され、『さすがは千葉真一』と話題になったものです。離陸する飛行機を、クルマを運転しながら追いかけ、飛行機に乗り移る場面も有名。飛行機につかまったはいいが、左足がハンドルに挟まってしまった。のちに本人が『死ぬかと思った』と語ったほど危ない撮影でした」(芸能記者)

 敵を攻撃しようとジャンプした瞬間、天井に頭を打ち付け、「ちょっと天井低すぎない?」と言って気絶するなどコミカルな演技を見せることもあった。

 当時の小中学生は体育の授業や遊びで派手な動きをするとき、「千葉真一だ~!」と掛け声を上げた。千葉真一という名前は危険なアクション場面や身体能力の優れた人の代名詞となり、千葉さんは10代の子どもを中心としたテレビ世代の憧れの的だった。

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