暑い日本の夏に大変なペイントレスラー、ベトベトになる上に肌荒れが大変【連載vol.54】

暑い。とにかく暑い。湿度も高く「日本の夏」がまだまだ続きそうだ。汗で苦しいし「化粧崩れに拍車がかかる」とお嘆きの女性も多い。ペイントレスラーはもっと大変だろう。

最近のムタはペイントに加えてマスクを着用【写真:プロレスリング・ノア提供】
最近のムタはペイントに加えてマスクを着用【写真:プロレスリング・ノア提供】

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 暑い。とにかく暑い。湿度も高く「日本の夏」がまだまだ続きそうだ。汗で苦しいし「化粧崩れに拍車がかかる」とお嘆きの女性も多い。ペイントレスラーはもっと大変だろう。

 ペイントレスラーと言えば、マスクマン同様、プロレス界の華。その先駆けは、ザ・グレート・カブキだ。歌舞伎役者のごとき隈取(くまどり)をしたカブキは、1981年に米ダラス地区に出現した。米マットを恐怖のどん底にたたき落とし「東洋の神秘」と恐れられ、83年に全日本プロレスに逆上陸した凱旋(がいせん)シリーズは、大きな話題となった。オリエンタルな入場テーマ曲、ヌンチャクのパフォーマンス、毒霧噴射で人気を博したカブキは、引退後の今でもイベントなどで披露することも多い。

 カブキの「息子」と称して、武藤敬司が化身したザ・グレート・ムタも、これまた大人気を博した。米のプロレス雑誌の表紙を飾り、特集記事が何ページにもわたって掲載された。さまざまなペイント姿の写真が載っており「ニンジャ」と紹介されていたが、自分で鏡を見ながら書くから「忍者」の漢字が逆になっていたのは、ご愛嬌(あいきょう)だ。現在はノアのリングに登場し、その存在感はすさまじい限りだ。

 日本人選手が海外武者修行中にペイントレスラーに変身することも多い。全員が「素顔のときとは別人格になれる」と口をそろえるが、気がかりなのは肌荒れ。「25歳はお肌の曲がり角」と言うが、大丈夫なのだろうか? カブキも「ペイントでお肌が荒れちゃう」とちゃめっ気たっぷりに笑っていた。 

 長年、ペイントをしている井上京子は「私は、肌荒れは全然ない。もう長くしているからペイントは10分もあれば、出来上がる。お手入れも自然のままで特に必要なし。メイク落としも市販のものだし、特に大変とか思ったことはない。いつ何時でも、プロレスラー井上京子でありたい」とキッパリ。もはやペイントは、お肌の一部なのかもしれない。

 凝ったペイントの沼澤邪鬼は「自分も肌荒れはない。でも、前は水で洗えばきれいになったのに、最近は、水だけでは落ちなくなった。俺も『お肌の曲がり角』なのかな。メイク落としを使っているけど、買いに行くのが恥ずかしい……」と照れ笑いだ。

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