eスポーツ選手が考える“楽しませること”の重要性「『応援してもらうこと』が一番大事」
近年、“eスポーツ”はその知名度を飛躍的に向上させ、これからさらに大きくなっていくと見込む向きも強い。そして、さらなる発展のためにプロ選手たちもさまざまな取り組みを行っている。プロeスポーツチーム・AXIZ(アクシズ)のデジタルカードゲーム「シャドウバース」部門に所属し、麻雀プロとの“二刀流”に挑戦中のRobもその一人だ。インタビューではeスポーツにプロ選手として取り組む意識や、これからプロを目指す競技者へのメッセージなどについて語ってくれた。今回は後編。
プロeスポーツチーム・AXIZのRobが語るエンターテインメントの意識
近年、“eスポーツ”はその知名度を飛躍的に向上させ、これからさらに大きくなっていくと見込む向きも強い。そして、さらなる発展のためにプロ選手たちもさまざまな取り組みを行っている。プロeスポーツチーム・AXIZ(アクシズ)のデジタルカードゲーム「シャドウバース」部門に所属し、麻雀プロとの“二刀流”に挑戦中のRobもその一人だ。インタビューではeスポーツにプロ選手として取り組む意識や、これからプロを目指す競技者へのメッセージなどについて語ってくれた。今回は後編。(取材・文=片村光博)
各ジャンルのゲームにチームを持つAXIZ。その中でシャドウバース部門は「RAGE Shadowverse Pro League」2019-20シーズンのリーグチャンピオンシップでよしもとLibalent(現・NTT-WESTリバレント)を下し、年間優勝。頂点を極めたチームを、Robはリーダーとして力強くけん引した。
翌シーズンはチームとして成績が安定せず、シーズンラストを飾るチャンピオンシップ出場も逃す結果となったものの、年間を通じて強く印象に残ったことがある。新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン開催となり、ユニフォームが見えづらい状況。その中でAXIZの選手たちはリーダーのRobを中心に、勝利時にスポンサーロゴをほぼ必ず強調していた。他チームの選手たちにも見られた行動だが、その意識の強さは印象的だった。Robは次のように振り返る。
「前提として、応援していただいているスポンサー様あってこそのチームという考え方があります。スポンサー様のメリットを出していくのは当然のことだと、運営サイドと僕ら選手の意見も一致していますし、オンラインで露出の機会が減っている時期には特に『どんどんやっていこう』という話をしていて、実行していました」
eスポーツ選手は誰しもゲームを楽しむことからスタートしているが、プロになった以上はファンやスポンサーのために何ができるのかも問われることになる。勝敗への責任はもちろん、いかにして“応援してもらうか”という視点も欠かせない。
「試合のときは100%の集中で勝ちに行きますが、それ以外のところでは見ている人が楽しめるようなパフォーマンスや配信の企画への意識などが、プロになって時が経つにつれて高くなってきています。『応援してもらうこと』が一番大事で、そのためには強くあることに加えて、自分やチームに魅力がないといけない。そうしたことを理解していくうちに、エンターテインメントとして“楽しませる”という部分をもっと意識していかなければいけないと考えるようになりました」
ハイレベルな真剣勝負での盛り上がりだけでなく、カメラを通じて見ている人々への意識は、プロシーン自体の継続にもつながる。プロシーンのフィジカルスポーツのように完全に世の中に根付いたわけではないeスポーツでは、なおさらだ。