「尊敬される人でいなさい」―18歳で芸歴17年の名子役、胸に秘める大先輩からの“金言”
佐藤隆太&麻生久美子が主演した映画「ロック わんこの島」(2011年)で、愛犬ロックと深い絆で結ばれる少年を演じた俳優の土師野(はしの)隆之介(18)が映画初主演を果たした。ロボット修理の天才少年を演じた「ロボット修理人のAi(愛)」(7月10日公開、田中じゅうこう監督)で、海外の映画祭でも演技が高く評価された。ベテラン子役・土師野は「この作品と出会わなかったら、俳優を続けていなかった」と語る。
土師野隆之介インタビュー、映画「ロボット修理人のAi(愛)」でロボット修理の天才少年役
佐藤隆太&麻生久美子が主演した映画「ロック わんこの島」(2011年)で、愛犬ロックと深い絆で結ばれる少年を演じた俳優の土師野(はしの)隆之介(18)が映画初主演を果たした。ロボット修理の天才少年を演じた「ロボット修理人のAi(愛)」(7月10日公開、田中じゅうこう監督)で、海外の映画祭でも演技が高く評価された。ベテラン子役・土師野は「この作品と出会わなかったら、俳優を続けていなかった」と語る。(取材・文=平辻哲也)
土師野は18歳の高3だが、芸歴は17年以上。「3人きょうだいの真ん中で、親は真ん中の子は愛情が注がれにくいと思ったそうで、思い出作りのために、という感じで子役の事務所に入れてくれたんです。10か月で赤ちゃんモデルをやって、3歳の時にドラマ『白夜行』(06年)で綾瀬はるかさんに向かって歩いていく男の子を演じました。そのときのことはなんとなく覚えています」。
長いキャリアの中で思い出深いのは、三宅島で民宿を営む夫婦の息子役を演じた映画「ロック わんこの島」だ。三宅島の噴火をきっかけに全島避難を余儀なくされ、愛犬ロックと離れ離れになってしまう少年役を好演。「僕にとっては大きな作品ですね。2か月の長期撮影しましたから。長いこと俳優をやっていますが、やめたいと思ったことは1度もないです」と振り返る。
そんな土師野も長く芸能界から離れたこともある。「中学受験のためだったんです。もう完全に離れちゃうかなという時期に、監督から、この映画のお話をいただいたんです。この作品がなかったら、続けていなかったかもしれないです。つなぎ留めていただいたという気がします」と感謝する。
実在のロボット修理人・乗松伸幸さんをモデルに、ロボット修理の天才少年、倫太郎(土師野)が、依頼品のAIBO(犬型ロボット)をめぐり、自身の過去と向き合い、新しい絆を育んでいく感動作。撮影は中学2年から高校2年までの3年間、夏休みなど長期休みで行った。「最初は、映画ができるかもわからない状態で、パイロット版を作るつもりだったそうなんです。後々、監督から聞いた話なんですが、僕に出会ったから、完成させようと思った、と伺いました」。
本作は20年、ブータンのドゥルク国際映画祭で最優秀主演男優賞、カンヌ世界映画祭(※世界三大映画祭のカンヌ国際映画祭とは別の映画祭)で優秀若手男優賞を受賞した。「撮影しているときは、モニターで自分の演技をまったく確認しなかったので、どんな作品になるのか、心配していたんです。だから、びっくりしたと同時にホッとしました。監督に恩返しができたかなって」。