富田靖子、3年ぶり名作舞台…長崎で被爆した母演じる「若い人にも観てほしい」

女優の富田靖子(52)が、こまつ座第134回公演「母と暮せば」(東京公演:7月3~14日、地方公演:7月19日~9月12日)に主演する。同作は、長崎で被ばくした母・伸子(富田)と亡き息子・浩二の幽霊(松下洸平)の物語で、2018年の初演に続く3年ぶりの再演となる。富田は3年前から週5でホットヨガに通って、体力作りから始めたと明かす。

舞台への意気込みを語った富田靖子【写真:舛元清香】
舞台への意気込みを語った富田靖子【写真:舛元清香】

「母と暮せば」3年ぶり再演「芝居が突然うまくなるということはない」

 女優の富田靖子(52)が、こまつ座第134回公演「母と暮せば」(東京公演:7月3~14日、地方公演:7月19日~9月12日)に主演する。同作は、長崎で被ばくした母・伸子(富田)と亡き息子・浩二の幽霊(松下洸平)の物語で、2018年の初演に続く3年ぶりの再演となる。富田は3年前から週5でホットヨガに通って、体力作りから始めたと明かす。(取材・文=平辻哲也)

 同作は座付き作家・井上ひさし関連作品を上演する、こまつ座の「戦後“命”の三部作」の1本。15年には巨匠・山田洋次監督が吉永小百合&二宮和也主演で映画化。こまつ座では18年秋に、山田監督の監修の下、青森の現役高校教師で、劇団「渡辺源四郎商店」の主宰、畑澤聖悟が作、井上戯曲の導き手の栗山民也が演出し、高い評価を得た。

 富田は再演が決まった3年前から準備を始めた。「初演の東京公演の終わりに決まったんです。芝居が突然うまくなるということはないので、すぐにホットヨガに通い始め、体を鍛えることにしました。1時間半の演目の中で息切れすることなく、やれる体を作ろう、と。行ける時は週5日くらい。最初はジムに通ったのですが、考え事をしながら器具を扱うと、けがをしてしまうので。ホットヨガは自分でコントロールしながら調整できるので、自分には合っていたんです」。

 最初に舞台「母と暮せば」のオファーを受けたのは約5年前。「小学生だった子どもが学芸会でお芝居するのを見ていて、とてもかわいく、純粋で、すごくキラキラして見えたんですね。一生懸命な姿は胸にくるものがありました。その直後にお話をいただいたので、迷いもあったんですが、やりたいなと思ったんです。子どもたちに後押しされた感じでした」。

 子育てのため、舞台から遠のいていた富田にとっては「炎の人」(演出・栗山民也)以来、7年ぶりの舞台だった。「お芝居の中でも、『二人芝居が一番難しい』と言われているそうなんですけど、そのときも今も、そのことをよく分かっていないんです。演出家の栗山さんが、『この台本に書いてある世界をうそつかずにやろうね』って、おっしゃってくださったことを胸に、最後までたどり着くことしか考えていませんでした。正直、手応えは分からないままだったんです」。

 映画版では、大女優・吉永小百合が母親役だ。「『もう大先輩だ』と思って、そこに大きくとらわれていたのは確かです。山田洋次監督が稽古場に見に来てくださったのですが、非常に緊張して近づくこともできずに、ただ、『一生懸命やります。まだ形になっていなくて、すみません』と心の中で言っていました。ただ、それから3年たつと、どんなに頑張っても、私は私、演劇の経験も数多いわけではないので、今自分にできることをやるだけだな、と思っています。初演のときにその心境にいっていれば、よかったんですけども」と振り返る。

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