ノアを支える若きエースが迷走 同世代のライバルにも見放されるどん底から脱出なるか【連載vol.45】
DDTとの新世代対決(6・6さいたまスーパーアリーナ大会)に臨んだノアの清宮海斗。稲村愛輝を従え、竹下幸之介、上野勇希組と対戦したが、清宮自身が上野にフォール負け。竹下に「次はない。僕はもっと上に、遠くに行きます」と、断言される始末だった。
新世代対決にまさかの完敗 焦点の定まらない視線
DDTとの新世代対決(6・6さいたまスーパーアリーナ大会)に臨んだノアの清宮海斗。稲村愛輝を従え、竹下幸之介、上野勇希組と対戦したが、清宮自身が上野にフォール負け。竹下に「次はない。僕はもっと上に、遠くに行きます」と、断言される始末だった。
この1戦が決定したときには「タイトル戦よりもこれがメインイベント」という声が浮上したほど、期待されていた。ところが、ノア5・22横浜大会で、大流血に追い込まれた清宮は、迷い道にハマり込んでしまったのだ。
「プロレスとは?」と、うわ言のように繰り返す姿は、2019年のノアを若きGHCヘビー級王者としてけん引した男とは、人が違ってしまったかのようだ。
6・6惨敗後にも「負けた。でも、通過点。今日は俺たちが弱かっただけ」と、焦点の定まらない目で強がるのが精いっぱいだった。
15年にノアに入門し、17年夏に海外遠征に出発。同年暮れに凱旋帰国するスピード出世。18年末にGHCヘビー級王者となり、一気にノアだけでなく日本プロレス界の話題をかっさらった。20年初頭に王座から陥落して以降も、女性ファンを中心に支持率は高止まりだったが、ここにきて急ブレーキ。このままダークサイドに落ちてしまうのか……。
17年の凱旋帰国時が思い出される。「誰?」と驚くほど、変身を遂げていた。「あ、彼は来る!」と思うほどオーラがはんぱなかった。「100年に一人の逸材」棚橋弘至を彷彿(ほうふつ)とさせたものだ。
周囲をパッと華やかにさせるイケメン。性格も優しく、明るく楽しい。もちろんファイトも迫力十分。スープレックスで披露する弧を描く美しいブリッジ。きちんとホールドも決める。台形のような形でなく、あくまできれいな曲線を完成させる。基本がちゃんとしていればこそ。基本がしっかりしていれば、応用もできる。まだまだ、可能性は無限大のはず。
清宮は大のトマト好き。今こそトマトパワーではないのか。「バイキングでトマトがあると、トマトばっかり食べちゃう」と、はにかんだ表情でトマトを熱く語りだす。居酒屋に行けば、レッドアイ(ビールのトマトジュース割り)に冷やしトマト。最近では種類豊富になったトマトだが、清宮の一押しは「アメーラトマト」「アメーラが一番、甘くてとてもおいしいですよね」とニッコリ。
「でもトマトは青臭いのも全部好き!」
トマトはリコピンが豊富で、ヨーロッパでは「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざもある程、栄養価の高いものだ。「紫外線を浴びたお肌にもいいんですよ!」と夏こそトマトを食べるべきと力説するなど、筋金入りの「トマトLOVE」。清宮と盛り上がるには「新種のおいしいトマトがある」や「トマト冷麺のおいしい店がある」などという情報が一番かも知れない。