デーブ・スペクター イーストウッド作品を絶賛も「字幕がないからよくわからなかった」
映画「リチャード・ジュエル」公開記念トークイベントが1月8日、東京・読売ホールで行われ、TVプロデューサーのデーブ・スペクター、リポーターの阿部祐二(61)、報道キャスターの長野智子(57)、ジャーナリストの下村健一(59)が登壇した。司会は映画コメンテーターの有村昆(43)が担当した。
映画「リチャード・ジュエル」公開記念トークイベント
映画「リチャード・ジュエル」公開記念トークイベントが1月8日、東京・読売ホールで行われ、TVプロデューサーのデーブ・スペクター、リポーターの阿部祐二(61)、報道キャスターの長野智子(57)、ジャーナリストの下村健一(59)そして松本サリン事件の被害者であり、報道被害を受けた河野義行氏も登壇した。司会は映画コメンテーターの有村昆(43)が担当。
映画はクリント・イーストウッド監督の最新作。1996年に米国・アトランタで起きた爆破事件で、爆破物の第一発見者だった警備員のリチャード・ジュエルが新聞社やテレビの報道により事件の第一容疑者に仕立てられてしまう。実際に起きた事件を映画化した作品だ。
イベントでは冤罪や報道被害についてのテーマでトークが展開。映画の感想を聞かれた下村は「当時はニューヨーク支局にてリチャード・ジュエルに会っているんですよ。映画の第一印象はオープニングで彼の顔がドアップになったときに『本物だ!』と思うほど似ていました。それくらいクリント・イーストウッド監督が忠実に事実を再現しようとしているところに釘付けになりました」と振り返った。
阿部は「我々取材対象に対して前のめりになりがちなんです。前のめりになったときの恐怖は怖いですね。そういう前のめりの態勢を起こして立ち止まれるか。そんなことを考えながら観させていただきました」と語った。
長野は「以前に冤罪事件を取材しまして、メディアが間違えた報道をしても責任を取らないとかありますよね。この事件はアメリカで起きたことですけど、完全に日本で起きていることと重なっていて、ゾクゾクしました。すごいリアリティーです」と感心。
デーブは「去年アメリカで観たんですけど、字幕がないからよくわからなかったです」とジョークで会場を沸かせたが、続けて「弁護士の重要性を感じましたね。弁護士がいなかったらどのような世の中になっているかという、ある意味では心強くなる映画ですね。フェイクニュースとかいろいろある時代だけに、本当に観る価値がある映画です」と作品について真面目に語ったが、最後は「この映画を観て「スッキリ」しました。みなさんのお話を聞いて「とくダネ!」だと思いましたよ」と最後はジョークでバッチリ締めた。
事件当時、アトランタにいた長野は「大学院に通っている頃だったんです。この事件は7月25日に起きて、私は8月になってすぐアトランタオリンピックの会場に行きました。事件の直後だったので怖かったですが、何事もなかったかのようにオリンピックをやっていて、アメリカ側も隠したかったのかなと思ったんです。すぐに真犯人が逮捕されて、ある意味、特別な空間で起きた事件なんだなと。そのあともアメリカにいましたが、彼が冤罪だったという報道はされていないんですよ」と振り返った。
以前リチャード・ジュエル本人の取材を担当した下村は「ジュエル本人が『誤報はトップに出て、訂正は最後に報じられる』と言っていました。世間が不安に陥ったり、一刻も早く解決したいと結論を急ぐとき、メディアの暴走が起ります」と警鐘を鳴らした。
映画「リチャード・ジュエル」は1月17日から全国で公開される。