記念の10作目完成までの舞台裏 「SEPT」の“頭脳コンビ”が2作同時上演に込めた思い
音楽・演劇・パフォーマンスをMIXした新世代エンターテインメント・ステージ「SEPT」は、こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都渋谷区)にて、5月21日から「SEPT Vol.10 ReAnimation ReUnion|ReVise」の上演がスタートした。
【インタビュー最終回】杉浦タカオとウチクリ内倉の「ReUnion|ReVise」への思い
音楽・演劇・パフォーマンスをMIXした新世代エンターテインメント・ステージ「SEPT」は、こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都渋谷区)にて、5月21日から「SEPT Vol.10 ReAnimation ReUnion|ReVise」の上演がスタートした。
本作は、昨年12月の公演で好評を得た「SEPT Vol.9 ReAnimation」のリメイク作「ReUnion」(再生)と、視点を変えた完全新作「ReVise」(新生)の“2本同時上演”となる。
インタビュー最終回は、「SEPT」主宰の杉浦タカオ、8年来の付き合いである演出のウチクリ内倉の2人に、節目となる10作品目へのこだわりや舞台裏について聞いた。
――2本同時上演となる「ReUnion|ReVise」の見どころを教えてください。
ウチクリ内倉(以下、ウチクリ)「何から話せばいいのかな」
杉浦タカオ(以下、杉浦)「語るべきことが多すぎて(笑)。まず、昨年12月にVol.9の『ReAnimation』の初演をやらせていただきました。本来は昨年3月に21公演をやるはずだったものが、延期して12月になりまして、最終的に9公演しかできなかった。『残りの12公演を取り戻しに行こうじゃないか』ということで、2作品同時でやれないかと相談しつつ、結果的に4作品になって、負荷をかけ倒しました(笑)」
ウチクリ「タカオは、スタートは音楽からだよね?」
杉浦「そう、音楽だね」
ウチクリ「スタートが音楽寄りというか、演劇ではないところから発想を持ってくるので、すごく大変ですけど、面白いなと思うことがたくさんあります。『ReUnion|ReVise』の演出テーマとしては、“月の表と裏”みたいな感じ。『ReUnion』が表側で、『ReVise』がその裏側を見せるイメージで作りました」
――2作同時上演の難しさは当然あるかと思います。
ウチクリ「めちゃくちゃ大変です(笑)」
杉浦「例えば、マルチエンディングをやっていらっしゃる方はたくさんいると思いますけど、ほぼ丸々2本分を同時期に、しかも交互上演というのは我ながら勝負しているなと(笑)。今回、STU48の今村美月さん(HINA役)と沖侑果さん(泉木葉役)はスポット出演という形です。沖さんは搗宮姫奈さんとのWキャストなんですけど、今村さんに関してはいる日といない日が存在していて、それぞれ内容が違うんです。そこを含めると、『ReUnion』のHINAがいる日いない日、『ReVise』のHINAがいる日いない日の4作品になっています。スタッフたちにもたくさん無理を強いてしまいましたが、たぶん、ウチクリさんが一番大変な思いをしたでしょうね(笑)」
ウチクリ「台本を常に4冊持ち歩くという(笑)」
杉浦「一つ修正が入ると、全部修正しなければいけないというね(笑)。主宰と演出であり、脚本と演出でもある、一番付き合いの古い2人で今回基盤を作らせていただきました。初舞台の方もたくさんいらっしゃるなかで、一回で4作品を覚えなきゃいけないのは相当な負荷だったと思うんですけど、いざふたを開けてみると、とんでもない進化をしていました」
ウチクリ「そうだね。演劇をやっている側からすると『めちゃくちゃ大変だぞ』と思うんですけど、音楽をやっている初舞台の人たちはそれが当たり前なのかなと入ってくるから、稽古は大変だよと伝えるより、とにかく演劇って楽しいよと体感してもらうことが一番のテーマだったりします。楽しければ、大変なことも結構平気でやれたりするので、それは心掛けました」
杉浦「アーティスト勢は、普段は舞台みたいに長い期間同じことをやることはまずありません。特に稽古を1か月やることもないし、リハーサルを数回やって、本番を迎えるなんてこともあるというジャンルの方々がこの1か月、たぶんいろんなことを考えたはずです。でも、ステージに来たその日から進化を突然するので、アーティスト勢の面白さはそこにあるなと思いました」
ウチクリ「プロ根性は演劇も音楽も共通しているからね」
杉浦「お客さんが入った状態ならもう一段階“化ける”だろうし、すごく楽しみだね」