今こそ出番 プロレス界出身・馳浩議員に「新型コロナにノーザンライトスープレックス」を期待

レスラーOB代議士の馳浩の出番である。2020東京五輪の開催の是非が問われ、新型コロナウイルス陽性のプロレスラーが増えている昨今、超党派の格闘技振興議員連盟の設立を昨年11月に呼びかけた馳の行動力に期待する声が高まっている。

爽やかな笑顔の馳浩議員【写真:柴田惣一】
爽やかな笑顔の馳浩議員【写真:柴田惣一】

1995年に34歳で参議院議員となり国政デビュー 衆議院議員としても7期目

 レスラーOB代議士の馳浩の出番である。2020東京五輪の開催の是非が問われ、新型コロナウイルス陽性のプロレスラーが増えている昨今、超党派の格闘技振興議員連盟の設立を昨年11月に呼びかけた馳の行動力に期待する声が高まっている。

 1995年に34歳で参議院議員となり国政デビュー後、衆議院議員としても7期目。2015年には、第3次安倍第1次改造内閣で文部科学大臣に就任するなど、政界でも活躍している。

 今でもリングに上がるなど、プロレスラーの顔も時折、披露してくれるが、思えば馳のプロレス入門は24歳の時。84年ロサンゼルス五輪・レスリング日本代表に選ばれ、社会人を経験、しかも教師として母校の高校生を指導していたとあって、新弟子の時からとても常識的だった。

 体育会系のプロレス界では、キャリアがものを言う。例え年上であっても、入門が一日でも遅ければ後輩であり、その関係はその先ずっと変わらない。

 馳は業界の道理を理解し先輩、後輩の立場もわきまえていた。年下の先輩でも立てるなど、誰からも文句の出ない立ち振る舞いだった。武骨なレスラー軍団の中で独特の存在感を醸し出し、自分の立ち位置を確立していく。

 常に一目置かれていたが、仲間のレスラーたちから、ある日の出来事で尊敬されるようになる。

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」という江戸時代の俳人、山口素堂の句がある。

 五月晴れの日だった。新日本プロレスの合同練習で、道場近くの多摩川の土手をロードワーク。途中、少し休憩タイムとなった。新緑がきれいで、爽やかな風も心地よい。ある先輩レスラーが「目に青葉 山ほととぎす 夏祭り」と、少しばかり得意げに口を開いた。

 一見、聞き流してしまいそうな間違いだが、さすがは古典の教師だった馳。「目には青葉 山ほととぎす 初鰹、ですよ」と、優しく言い直した。

 続けて「『目に青葉』と言いがちですが、正式には『目には青葉』です。そして『ほとととぎす』というのは鳥のほととぎすではなく、植物という説もあるんですよ」と、分かりやすく解説を加える。

「ほー!」。まるで中西学の遠吠えのように、感心するレスラー軍団。「馳はやっぱり先生だね、頭いいね。インテリだよ!すごいよ!」と、一斉に声があがった。

 それまでも敬意を持たれていたが、これをきっかけにレスラーたちの馳を見る目に尊敬の念が加わった。

 また、馳は女性に対しても非常にスマートに接する。口調も優しく、笑顔で自然にサラッと誘う。若い頃は「僕は愛の伝道師ですから」とよく口にしていた。武骨な誘い方しかできないレスラー軍団の中で、その点でも「さすが」とささやかれていた。

 ただし、尊敬されてはいてもそこはやはり後輩。いつまでも「馳」と呼び捨てにされてはいた。

 スポーツ界はもちろん、プロレス業界も危機にある中、馳の実行力が待望されている。2020東京五輪の開催、プロレス界が一丸となってピンチを切り抜けるための土台作り……今こそ馳の出番だ。

「コロナにノーザンライトスープレックス」とでもいうべき起死回生、会心の一撃を期待してやまない。

次のページへ (2/2) 【写真】馳浩はリングに登場すれば迫力満点だ
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