ろう者のヒロインとの恋物語…演劇「ハイキュー!!」で人気の織部典成が挑んだ手話への思い
YouTubeで1000万回以上再生を突破したHAND SIGNの楽曲を映画化した「僕が君の耳になる」(6月25日公開、榎本次郎監督)。同映画で初主演するのが、「劇団番町ボーイズ☆」のメンバーで、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」で人気の織部典成(20)だ。ろう者のヒロインとの恋物語を描いた本作では、手話とギターに初挑戦。本作への思い、夢を語った。
「劇団番町ボーイズ☆」のメンバー、映画「僕が君の耳になる」で初主演
YouTubeで1000万回以上再生を突破したHAND SIGNの楽曲を映画化した「僕が君の耳になる」(6月25日公開、榎本次郎監督)。同映画で初主演するのが、「劇団番町ボーイズ☆」のメンバーで、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」で人気の織部典成(20)だ。ろう者のヒロインとの恋物語を描いた本作では、手話とギターに初挑戦。本作への思い、夢を語った。(取材・文=平辻哲也)
「僕が君の耳になる」は、ボーカル&手話パフォーマンスグループ「HANDSIGN」が2017年にリリースした同名楽曲が原案のピュア・ラブストーリー。実話を基に、ごく普通の大学生、山岸純平(織部)と耳の聞こえないヒロイン・美咲(梶本瑞希)の出会い、恋を描いていく。
「YouTubeは見ていました。10分くらいのミュージックビデオで、こんなにも心に刺さるんだ、素晴らしい作品だなと思っていたので、自分がこの作品をできるのかという驚きと喜びがありました。題材がろう者の方の話なので、僕自身が全力でこの作品に向き合わないといけないなと感じ、そのプレッシャーが大きかったんです」と素直な気持ちを吐露する。
純平は音楽が大好きで、街角で弾き語りが好きな、ごく普通の大学生役。それが不思議な魅力を持つヒロイン・美咲と出会い、興味を持ち始める……。「純平は本当に真っすぐで、自分に自信があって芯を持っている人。あまり役作りは意識せず、演じることができました。僕自身も、純平のように追っかけていくタイプではあるんですけども、ここまで真っすぐではないです。思った後に、考えるタイプなので、思ったら即行動とはいかないです」
その言葉の通り、手話もギターも迷いながらの挑戦だった。「最初は何をしたらいいのか、本当に分からなかったんです。手話は動画を見たり、本を読んだり、手話教室に通ったりしました。ギターは弾ける先輩に連絡してみたり……。いろんな方の手を借りて挑ませてもらいました。ギターはもともと興味があったんですが、簡単な曲から、だんだん指を慣らしていって、弦を抑える指が固くなるまで練習しました。歌は上手い下手じゃなくて、伝えることを大事にやって、山岸純平っていう役にぶつけられたかなと思っています」
ろう者と触れ合うことも初めてだったという。「それまでは、頭では分かっていてもろう者の方のことを深く考えるとまではいかなかった気がします。うまくコミュニケーションを取れるか、不安もあったのですが、現場では基本、手話で会話するように心がけました。(ヒロインの)梶本さんも簡単な手話にしてくれ、僕の手話も読み取ってくれたので、できた部分もありますが、やってきてよかったなと思いました」