韓国でも社会問題化する“路上飲み” 現地市民も困惑「我慢できない若者が増えている」

東京や大阪など4都府県に出されている新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言が、新たに愛知と福岡の2県を追加し、今月末まで延長されることになった。酒類を提供する飲食店に対しては引き続き休業要請が求められるため、行き場を失った若者らがコンビニなどで缶ビールや缶チューハイを買って屋外に集まる、いわゆる“路上飲み”が社会問題化している。韓国で同じような“路上飲み”をするとどうなるのか? ソウル首都圏在住の複数の市民に聞いた。

若者の路上飲みが問題化したソウルの流行スポット「弘大入口」。コロナ禍前は路上ライブに大勢の若者が集まっていた
若者の路上飲みが問題化したソウルの流行スポット「弘大入口」。コロナ禍前は路上ライブに大勢の若者が集まっていた

「5人以上は起訴され罰金」も QRコード認証で飲食店内への出入りを徹底管理

 東京や大阪など4都府県に出されている新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言が、新たに愛知と福岡の2県を追加し、今月末まで延長されることになった。酒類を提供する飲食店に対しては引き続き休業要請が求められるため、行き場を失った若者らがコンビニなどで缶ビールや缶チューハイを買って屋外に集まる、いわゆる“路上飲み”が社会問題化している。韓国で同じような“路上飲み”をするとどうなるのか? ソウル首都圏在住の複数の市民に聞いた。

 韓国では昨年末に1日あたりのコロナウイルス感染確認者数が連日1000人を超えていたが、今年に入って減少。しかし、3月末から再び増加傾向に転じ、5月に入ってからは400人台から600人台で推移している。

 韓国政府は今月3日からの防疫対策について、社会的距離の確保のレベルを首都圏は上から3番目に厳しい第2段階、首都圏以外は同じく4番目の第1・5段階に据え置くことを決定した。23日までの3週間にわたって、直系家族を除く5人以上の私的な集まり(自宅を含む)を引き続き禁止する。違反すれば300万ウォン(約29万円)以下の罰金が科される。

 ソウル在住の女性は「感染者数はなかなか減りませんが、全国で連日500~600人程度に抑え込んでいる。政府の防疫政策も一定の評価を得ていてみんなよく守っています」と話す。とはいえ、全国でクラスター発生が相次ぐなどコロナ感染の第4波に入っており油断はできない。

 日本よりも強力な行動制限措置をとってきた韓国だが、若者の流行スポットとして知られるソウル・弘大入口では飲食店が閉店する午後10時以降、飲み足りない若者らが路上に大勢集まり、未明まで酒盛りをする姿が現地メディアによってキャッチされている。

 また、4月に入ってからはソウル市内を流れる漢江沿いの漢江公園に夜中に集まって飲酒する市民が増加。ソウル市の防疫統制官が自粛を強く要請する事態も起きている。ソウル近郊に住む女性は「自粛を我慢できなくなった若者が増えている。そのせいで感染が広がっているようです」と警戒する。

 しかし、こうしたニュースが報じられるのも、コロナ防疫政策を守らない市民に対する批判意識が強いからだ。年明けに自宅で新年パーティーを開き、感染病予防と管理に関する法律違反で起訴された市民10人に対し、200万ウォン(約19万5000円)から100万ウォン(9万7500円)の罰金刑が先月末に宣告されている。裁判所の判事は「感染病拡散を防ぐために今も続いている国民的努力と犠牲を無視した。厳重な処罰を受けねばならない」とした。

 韓国ではスマートフォンのQRコード認証で飲食店内への出入りを管理するシステムも普及しているが、「1人経営の小さなコンビニや食堂ではスルーが可能」(前出のソウル在住女性)という。ただ、個人の行動は別の方法でも把握できる。ある大学教員がこう話す。「ソウル市街にはCCTV(Closed Circuit Television)と呼ばれる監視カメラが無数に設置されているため、目立つ場所で路上飲みをしているとすぐに身元がバレます。子どもを叱るとき、『CCTVに見つかるよ』という親もいるほどですから」。

 プライバシーに関わる行動制限や情報管理には賛否あるだろうが、メリハリのない日本のコロナ対策を見ていると、韓国の経験は多少なりとも参考になるのではないだろうか。

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