過酷で残酷なIWGPダブル王座戦は誰が制す? 新日本プロレス東京ドーム大会展望 (前編)
1月4日、新日本プロレスの”1・4(イッテンヨン)”東京ドーム大会は、プロレスファンの初詣として年始の恒例行事となっている。さらに近年では海外からのファンも急激に増加。WWEの年間最大の祭典「レッスルマニア」同様の風景が現出しており、イッテンヨンの前後1週間ほど、プロレス会場周辺は国際色豊かに彩られる。もはや春の“レッスルマニアウィーク”と並び、年末年始の“レッスルキングダムウィーク”として海外ファンには聖地巡礼のように位置づけられているのだ。そして平成が終わり令和になって初のイッテンヨンは、翌日の1・5(1月5日”イッテンゴ”)に拡大。今年は史上初の東京ドーム2連戦として行われるのである。
世界中のプロレスファンが注目する”イッテンヨン”とは
1月4日、新日本プロレスの“1・4(イッテンヨン)”東京ドーム大会は、プロレスファンの初詣として年始の恒例行事となっている。さらに近年では海外からのファンも急激に増加。WWEの年間最大の祭典「レッスルマニア」同様の風景が現出しており、イッテンヨンの前後1週間ほど、プロレス会場周辺は国際色豊かに彩られる。もはや春の“レッスルマニアウィーク”と並び、年末年始の“レッスルキングダムウィーク”として海外ファンには聖地巡礼のように位置づけられているのだ。そして平成が終わり令和になって初のイッテンヨンは、翌日の1・5(1月5日“イッテンゴ”)に拡大。今年は史上初の東京ドーム2連戦として行われるのである。
初の2DAYSを象徴するかのような史上初の試みは、IWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座(IC)のダブル選手権試合である。まずはイッテンヨンでそれぞれのタイトルマッチをおこない、イッテンゴでそれぞれの勝者がお互いのベルトを懸けて対戦する。最後の勝者がIWGPヘビーとICの2本のベルトを獲得するという仕組みだ。
この四つ巴戦にエントリーされているのは、オカダ・カズチカ(IWGPヘビー級王者)、ジェイ・ホワイト(IC王者)、飯伏幸太(G1クライマックス覇者&IWGPヘビー級王座挑戦権利証保持者)、内藤哲也。オカダのIWGPヘビーにはG1覇者で権利証を守り抜いた飯伏が挑戦。ジェイのICには、前王者の内藤がチャレンジする。
現在は無冠の内藤だが、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを率いカリスマ的人気を誇っているのは周知の通り。そもそもこの2冠奪取を最初にぶち上げたのが内藤だった。しかも前回の東京ドーム終了後、19年1月の時点ですでに野望を口にしていたのである。
しかしその後、飯伏がG1を制した8月13日の会見で東京ドーム2DAYSでの2冠争奪戦を提案、一年のうちにIWGP2本のベルトを巻いたジェイも2冠同時奪取をたびたび発言するようになった。史上初の試みにプロレス世論も同調。4選手のなかでは反対派でIWGPヘビーに絶対のプライドを持つオカダは事態の収拾をはかり、ファン投票での採決を要求した。その結果、東京ドームでの2冠争奪戦が正式決定となったのだ。が、蛇足かもしれないが、36%が反対票だった事実も忘れてはならないだろう。そこには初の2冠戦という興味本位以上に、「IWGPヘビーこそが最強の証」というオカダと同じ思いが込められているのだ。だからこそ、今回の2冠戦の結果で投票の民意が正しかったのかどうかも問われることになるのではないか。
イッテンヨンでおこなわれるオカダVS飯伏のIWGPヘビー級王座戦と、ジェイVS内藤のIC王座戦。翌日のイッテンゴでは勝者がお互いのベルトを懸けて激突する運命の2冠戦とともに、敗者同士もノンタイトルの一騎打ちで対戦する。
2DAYSで決まるIWGP2冠王者 勝ち残るのが誰だ?
オカダと飯伏のシングルマッチはこれまでに3度実現している。今年のG1クライマックス最終公式戦で、飯伏はオカダから初勝利を挙げた(オカダの2勝1敗)。この勢いに乗り、決勝でジェイを破った飯伏が初制覇を達成したのだ。もともと両者は2004年デビューの同期。オカダはメキシコの闘龍門でデビューし、飯伏はDDT出身である。ともにまじわることはなかった2人は新日本で遭遇。飯伏が今年4月、正式に所属になったことで、この2人による争いがより熾烈になっていくことが予想される。だからこそ、IWGPヘビーにこだわるオカダと、2冠を必要とする飯伏の激突は、今後の新日本の方向性を占う意味でも興味深い。
ジェイと内藤はIC王座を巡るライバルと言っていい。G1ではジェイが内藤に勝利。9月22日神戸でのIC王座戦でもジェイが内藤を破り、同王座初戴冠を成し遂げた。内藤には2冠への道が遠のいたかに思えたが、ジェイや飯伏がたびたび主張したことで、かえってこの輪に加わることができたとも考えられる。現在は4人のなかで唯一の無冠だが、だからこその痛快な逆転劇に期待がかかる。18年の東京ドームで飾れなかったメインでの勝利。今年こそ、の思いはロス・インゴのファンも抱いている。
一方のジェイも短期間で両方のベルトを巻いたとはいえ、4月6日のアメリカ・ニューヨーク州マジソン・スクエア・ガーデン大会でのIWGPヘビー級王座戦でオカダにベルトを明け渡し、G1では決勝で飯伏に敗れ準優勝、惜しいところでメインを落としてきた。が、緩急をつけた独特なリズムは対戦相手にはやりにくいことこの上ない。ニューヨークのリベンジは“トーキョー”で、との決意でリングに上がってくるだろう。
オカダVSジェイ、オカダVS内藤、飯伏VSジェイ、飯伏VS内藤……。いったいどの組み合わせでイッテンゴのダブルタイトル戦が実現するのか。また同時に、どの組み合わせで敗者同士のスペシャルシングルマッチがおこなわれるのか。そう考えるといかに過酷かつ残酷なマッチメークかと思わざるを得ない。2冠どころか無冠決定の2人の試合がいったいどんな雰囲気でおこなわれるのだろう? いってみれば3位決定戦でもあり最下位決定戦。東京ドームでのプロレス史上かつてない意味合いの試合が生むドラマにも注目する必要がありそうだ。