27年目迎えた「パワプロ」なぜ今アニメ化? 新たな価値提供が狙い

株式会社コナミデジタルエンタテインメントによる人気シリーズ「パワフルプロ野球」が初めてWEBアニメ化され、17日に都内スタジオでメディア向けの先行上映を行った。

初めてWEBアニメ化される「パワフルプロ野球」の場面カット【写真:ENCOUNT編集部】
初めてWEBアニメ化される「パワフルプロ野球」の場面カット【写真:ENCOUNT編集部】

25年以上の「パワプロ」シリーズで主人公・パワプロに声がつくのは初めて

 株式会社コナミデジタルエンタテインメントによる人気シリーズ「パワフルプロ野球」が初めてWEBアニメ化され、17日に都内スタジオでメディア向けの先行上映を行った。

 WEBアニメ「パワフルプロ野球 パワフル高校編」は、ゲーム内に搭載されている人気モード「サクセス」のシナリオ「パワフル高校」を全4話でアニメ化。主人公のパワプロ役に白石涼子、矢部明雄役を大谷育江、星井スバル役を逢坂良太、木場嵐士役を小野友樹、才賀侑人役を日野聡がそれぞれ演じる。25年以上続く「パワプロ」シリーズで、主人公であるパワプロに声がつくのは初めて。

 主題歌は、シンガー・ソングライターのオーイシマサヨシがこのアニメのために書き下ろした新曲「パワプルバディ」に決定。アニメ制作は「約束のネバーランド」などを手がけるCloverWorksが担当する。

 この日行われたメディア向け上映会では、20日に公開される第1話と第2話を放映。主人公と幼なじみの親友「スバル」がパワフル高校で再会し、甲子園出場という夢に向かって練習に励むというストーリーだ。

 小学生の頃から「パワプロ」シリーズのファンだという渡邉徹明監督は、「それぞれのキャラクターたちとパワプロくんの関係性やイベントごとに切磋琢磨して能力が上がっていく流れといった自分が好きな要素と、ファンが見たいだろうというところをうまく映像に落とし込めたらいいなという気持ちで取り組んできました」と制作にあたっての意気込みを明かした。

 今年で誕生から27年を迎える「パワプロ」シリーズで、今回が初のアニメ化となる。「パワプロアプリ」アニメ企画を担当する林潤アシスタントプロデューサーは、このタイミングでのアニメ化について、25周年を迎えた2年前から構想があったと明かした。「今までご愛顧いただいたお客様に対して驚きを与えつつ、今までにない展開で楽しさをお届けしたい」とアニメ化の案が浮上し、今回のWEBアニメ制作が決定したという。

 これまでは主に野球が好きな層に対してアプローチしてきた「パワプロ」シリーズだが、登場人物それぞれのエピソードを盛り込んで青春を描いた「サクセス」をアニメ化することで、野球ゲームになじみがないユーザーの取り込みも狙う。

 林アシスタントプロデューサーは「『野球には詳しくないけど(パワプロを通じて)野球が好きになった』という声もいただいていた。切り出してアニメ化することで、これまで興味を持っていただいていたゲーム好き、野球好きのお客様だけではなく、もっと広くお客様に『パワプロ』の世界観を届けることができるのではないか」とその意図を説明した。

 今回は、シリーズ27年の歴史の中で主人公のパワプロにも初めてボイスを搭載した。林アシスタントプロデューサーは「パワプロくんをプレイするお客様の分身と捉えていらっしゃる方が多いので、声をどうつけたらいいのか社内でも悩んだ」と当初の苦悩を吐露した。ボイスを搭載することでユーザーのイメージとの相違が生まれるのではないかという危惧もあって「音声なし、芝居のみ」という案も出たが、アニメ制作の観点からボイス搭載が決定。熱血なパワプロのイメージを、数々の少年役で定評のある白石に託したという。

 パワプロに登場するキャラクターには口や足の関節がなく、手が球体……という特徴がある。一方で、大きな目が感情を表現。タレントぞろいの声優陣が吹き込むせりふが見事にハマり、違和感を抱くことは全くなかった。ストーリーも明快な青春ドラマで、「パワプロ」になじみがない人でも楽しむことができる。

 また、ゲームをプレイしたことがある人なら一度は耳にしたことのあるBGMや、おなじみのキャラクターも随所に登場するため、思わずニヤリとしてしまうこと間違いなしだ。

「パワプロ」らしく、第3話以降は試合のシーンも丁寧に描かれているという。渡邉監督は「試合をがっつり見せる。ちゃんと野球をしているパワプロくんたちの活躍をしっかり見せることにフォーカスして作りました。ぜひご期待ください」とファンにメッセージを送っていた。

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