馬場と猪木の両巨頭に仕えた男「サムライシロー」の今を追跡 東京-長野を往復の生活
「サムライ・シロー」越中詩郎がジャイアント馬場23回忌追善興行(4日、東京・後楽園ホール)で、元気な姿を披露した。白い道着の出で立ちでヒップアタックをさく裂させた越中。平成維震軍時代の勇姿そのものだった。
東京で生まれて育ったのに阪神タイガースの熱狂的ファン
「サムライ・シロー」越中詩郎がジャイアント馬場23回忌追善興行(4日、東京・後楽園ホール)で、元気な姿を披露した。白い道着の出で立ちでヒップアタックをさく裂させた越中。平成維震軍時代の勇姿そのものだった。
1978年に全日本プロレス入りし、85年新日本プロレスに移籍。馬場とアントニオ猪木の両者を知る者として、貴重な男でもある。馬場の付き人を長く務めていたが、北海道サーキット中の“マクドナルド・フィレオフィッシュ事件”が忘れられないという。
「お店もないようなところで、馬場さんが『腹が減った』と言い出した。困ってしまったけど、マックがあった。馬場さんは本場のハンバーガーの味を知っているし、芸がないので、フィレオフィッシュを買った。そうしたら『うまいな。これ』って大喜びしてくれた」と笑顔が爆発した。
いったん気に入ると、とことん一途な馬場は、それから1週間「あれ、買ってきてくれ」と、毎日フィレオフィッシュを食べ続けたという。
プロレスファンとしても知られるサザンオールスターズの桑田佳祐が、わざわざあいさつに来てくれた。
「ハイ、どうも」と大きな手を上げて応じていた馬場だが、後で聞かれた。「オイ、ありゃ誰だ? ゴダイゴか?」……これには越中もこけてしまった。
「馬場さん、俺たちがお会いできて大喜びする有名人、意外と知らなかったりしたな」と笑った。
馬場と猪木の両巨頭には「2人ともいろんな感情があったんじゃないかな。俺なんか、聞けなかったけど。まあ、馬場さんに怒られると、尾を引くんだよ。猪木さんはその場で『バカヤロー!』でお仕舞」と振り返る。
越中はビートルズが大好き。かつて東京・六本木にあったキャバンクラブで、トリビュートグループの生演奏を楽しんだという。
東京で生まれて育ったのに、プロ野球は阪神タイガースの熱狂的ファン。自らも甲子園を目指していただけに「阪神VS巨人」を語りだすと熱い。
数年前に長野県の八ヶ岳のふもとに古民家を購入し、自分の手でリノベーション。コツコツと修繕し、今では東京の自宅と往復する生活を送っている。当初は避暑が目的だったが「冬の信濃」の魅力にもはまってしまった。「この前なんて、零下20度だよ。しばれる、なんてもんじゃないって」と、これまた笑みがこぼれ落ちた。
レジェンドたちが顔をそろえた2・4決戦では「まだまだ、俺も若手だって」と苦笑い。今後も頑張ってくれるに違いない。(文中敬称略)