「絶対にやる」発言は「本意ではなかった」 新宿区長が語る“開催強行発言”の真意
新型コロナウイルス感染拡大を受け、緊急事態宣言下で行われた今年の成人式。当初、吉住健一区長の「絶対にやる」との発言が報じられ大きな話題となっていた新宿区では、急きょ式典の開催中止を決定。式典予定会場にフォトスポットを設置し、お祝いの言葉は会場とオンラインで同時配信する形式を取った。オンライン/オフラインの“二重開催”となった経緯と渦中の開催強行発言の真意について、会場で待機していた吉住区長を直撃した。
吉住健一区長の発言が話題となった新宿区は会場とオンラインの同時開催に
新型コロナウイルス感染拡大を受け、緊急事態宣言下で行われた今年の成人式。当初、吉住健一区長の「絶対にやる」との発言が報じられ大きな話題となっていた新宿区では、急きょ式典の開催中止を決定。式典予定会場にフォトスポットを設置し、お祝いの言葉は会場とオンラインで同時配信する形式を取った。オンライン/オフラインの“二重開催”となった経緯と渦中の開催強行発言の真意について、会場で待機していた吉住区長を直撃した。
――この形式での開催となった経緯は?
「例年の数倍の広さの会場を用意していましたが、年が明けた直前になって急激に感染者が増えて、許容範囲をオーバーしてしまった。形式をあらため、なるべく人が集まらないように動画の同時配信という形を取りました」
――当初は「絶対にやる」という発言が話題になった。
「あの報道のされ方は本意ではなかった。最初文書で回答して、その後追加で電話取材を受けたんですが、『感染予防を徹底した上でやる』と話していました。『絶対ですか?』『開催しないのではと不安を感じている方もいる』と聞かれ、『このままの感染者数の推移だったらやります』と答えたら、そこが取られてしまった」
――延期の判断はなかったのか。
「土地柄、流入人口が非常に多い区。絶えず人の交流があるので、延期しても再延期、再々延期となってしまう可能性もある。新年度になれば来年度の新成人のことも考えなければならない。新宿区に限っては、今回で何かしらの形を取らなければいけなかった」
――今日の来場者は想定と比べてどうか。
「思ったよりも多いですかね。実はもともと新宿区の成人式はけっして人出は多くはないんです。20歳を迎える対象者の46%が外国人ですからね。実際に式典に参加するのは全体の20~25%くらい。そのぶん、各地の民族衣装などが見られるバラエティー豊かな式となるのは新宿ならでは。今日は外国人の新成人はそれほどいらしてませんが……」
――区長にとって成人式とは?
「新成人にとっては同期会の待ち合わせ場所ですよ。例年は立食パーティーの形式をとっていて、私のスピーチも1分くらいで、あとは大いに歓談してもらっていた。ですが、今年は自分の行動に責任を持つということを伝えないといけないなかった。20歳の子と私が直接話したり、意見したりできる機会は多くない。だからそういう貴重な場として今日はここに来ました」
――新成人と有意義な意見交換はできたか。
「どうですかね。開会直後の人の少ない時間帯は、一人ひとりと話したり、一緒に記念写真を撮ったりはしましたが……。印象的だったのは新成人よりも、むしろ親御さんですかね。中には涙ぐみながら『ありがとうございます。今日はどうしてもこの場に来たかった』とおっしゃる親御さんもいた。成人式には親のためのもの、という意味合いもある。そんな親の姿を見て、新成人も何か自覚、自立するきっかけになってくれれば」