STU48今村美月の“自分色”を探す挑戦 演技経験で芽生えた「秀でたもの」へのこだわり

瀬戸内7県を拠点とするアイドルグループ「STU48」の今村美月は、8歳から習ってきた歌とダンス、2代目キャプテンを務めるリーダーシップ、全体を俯瞰できる視野の広さとメンバーを支える優しさを兼ね備え、替えがきかない存在として輝きを放つ。そんな“スーパーアイドル”は今、新たな魅力を確立しようとしている。

キャプテンとして「STU48」を牽引する今村美月【写真:山口正人】
キャプテンとして「STU48」を牽引する今村美月【写真:山口正人】

【インタビュー後編】オールマイティーゆえのもどかしさ「ちゃんとした自分の色がない」

 瀬戸内7県を拠点とするアイドルグループ「STU48」の今村美月は、8歳から習ってきた歌とダンス、2代目キャプテンを務めるリーダーシップ、全体を俯瞰できる視野の広さとメンバーを支える優しさを兼ね備え、替えがきかない存在として輝きを放つ。そんな“スーパーアイドル”は今、新たな魅力を確立しようとしている。

「みちゅ(今村)にできないことはないんじゃないかというくらい、なんでもできちゃう」

 公私ともに仲のいい副キャプテンの福田朱里が抱く、今村のイメージである。それはそのまま、STU48全メンバー、そしてファンの“共通認識”と言ってもいいだろう。

 もっとも、自らのステータスに対する今村本人の見解は思いのほか厳しい。

「私は全然、完璧からはほど遠くて(苦笑)。全部を平均的にはできているのかもしれないけど、〇〇がうまいという、ちゃんとした自分の色がないと感じています。STU48のメンバーはみんな、自分の個性・特徴に対する思いが強い。例えば、みゆみゆ(門脇実優菜)はダンスがうまいし、矢野帆夏ちゃんも(AKB48グループ)歌唱力No.1決定戦で強い意志と信念を持って歌っていて、カッコいいなと刺激をもらいました。何かに秀でているほうが、より魅力的に見える気がします。ただ、私は全部が好きなので、何か1つに一生懸命になるのもまた違うのかなと思ったりもして。だから、もっとすべてを磨きたいです」

 48グループ史上最高難度のダンスと言われるAKB48 54thシングル「NO WAY MAN」のセンター争奪緊急ダンスオーディションで、グループ総勢105人の中からトップ3に選出され、センターに抜てき。歌唱面においても、「僕たちの恋の予感」公演の見せ場のひとつである「手遅れcaution」(=LOVE)でセンターに立ち、ガールズバンド「青い向日葵」ではメインボーカルを務めるなど、今村は「平均的」という言葉の枠に収まりきらないポテンシャルの持ち主だ。それでも、現状に満足せず“自分らしい形”を貪欲に追求してきた。

「自分の秀でたものを見つけたい」

 そんな思いが、実を結ぼうとしているのが「演技」だ。

 もともとミュージカル好きで、名作「レ・ミゼラブル」や「グレイテスト・ショーマン」、「劇団四季」の作品を多数観劇してきた今村は、「ミュージカルに挑戦してみたい」と思っていたなかで、音楽・演劇・パフォーマンスをミックスした新世代エンターテインメントステージ「SEPT」と運命的な出会いを果たす。2019年6月の公演「FATALISM≠Another story」で主演の雛菊役に抜てき。未知なる演技の世界は、刺激的な日々だったと振り返る。

「ミュージカルとはまた違いますけど、SEPTさんのステージは歌とダンス、演技が融合しています。私がやりたいことをすべてできるうえに、初舞台で初主演。初めて経験したお芝居の楽しさを知ると同時に、難しさも痛感しました。でも、悩みながらも自分が1つ成長できたなと思いました」

次のページへ (2/4) 初舞台で初主演を務め、船上劇場公演「Selfish amity's」ではリーダー役を熱演
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