「参加しない理由ができてよかった」 成人式中止も若者たちの“冷めた”本音

新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府は首都圏の1都3県を対象とした緊急事態宣言の発出を検討する方針を表明。これにより、11日に迫った成人式をめぐり各地で対応が分かれている。

緊急事態宣言をめぐって成人式の行方に注目が集まっている(写真はイメージ)【写真:写真AC】
緊急事態宣言をめぐって成人式の行方に注目が集まっている(写真はイメージ)【写真:写真AC】

民間企業が行ったアンケートでは「中止でよかった」が有効票率第1位に

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府は首都圏の1都3県を対象とした緊急事態宣言の発出を検討する方針を表明。これにより、11日に迫った成人式をめぐり各地で対応が分かれている。

 例年さいたまスーパーアリーナで行われる式典に新成人およそ1万人が参加するさいたま市は、オンラインでの式典開催を発表。また、毎年東京ディズニーランドで成人式を行ってきた千葉県浦安市は、今年3月の開催に延期することを決めた。

 一方、吉住健一区長が「絶対にやる」と断言した新宿区、全国の市区町村で最も新成人の数が多い横浜市などは式典の開催を決定しており、各自治体ごとに受け止め方はさまざまだ。

 では、当事者の新成人たちは相次ぐ成人式の中止や延期をどう捉えているのか。企業向けにオンラインワーキングスペースを提供するoVice株式会社では、同社のサービスを応用し、オンライン上に成人式の“打ち上げ会場”を12日まで提供。すでに石川県七尾市など複数の自治体がこれに賛同している。

 同社が「成人式が中止になったけど、どう思う?」と題しツイッター上で行ったアンケートでは、約4200人が回答。「閲覧用」の50.8%を除き、「参加しない理由ができてよかった」が28.2%で「地元の友人と久しぶりに話したかった」の18.2%を抑え有効票率1位を記録するなど、意外にも冷めた回答が目立った。

 oVice株式会社代表のジョン・セーヒョン氏は「参加したくないという声は一定数あるかなと思って候補に入れたが、それが最多だったことはショッキングだった」と率直な感想を口にする。

 都内の大学に通う新成人の一人は「地元の友達とはノリが違う。帰省の交通費もバカにならないし、仲のいい友達とはリモートでも会える」。別の新成人は「自分は早生まれでまだ20歳になってない。3月に延期するならみんなと乾杯できるのでむしろ賛成」と話した。一方で、新成人を迎えた女性からは「振袖を着られる一生に一度の機会がなくなる」との声もあり、中止や延期を残念がる新成人も少なくない。

 緊急事態宣言により飲食店に午後8時までの営業時間短縮の要請が見込まれるなか、成人式を迎えて初の乾杯を行える場所も多くはない。新成人を含め、自粛続きでどこか諦めの漂う若者たち。コロナ禍の一刻も早い収束が待たれる。

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