レスラーはファンから力を ファンはレスラーから勇気と元気を…ノア10年ぶり武道館
プロレスの力を再認識した。レスラーはファンの声援に力を得て、ファンはレスラーの頑張りに勇気と元気をもらうプロレスの力。ノアのリングで改めて思い知らされた。
至宝挑戦の武藤敬司「俺も夢は見ていいだろう」
プロレスの力を再認識した。レスラーはファンの声援に力を得て、ファンはレスラーの頑張りに勇気と元気をもらうプロレスの力。ノアのリングで改めて思い知らされた。
12・6東京・代々木大会で、来年2月12日、日本武道館大会の開催が発表された。ノアとしては約10年ぶりの同会場への進出となる。
思えばノアのビッグマッチと言えば、日本武道館だった。旗揚げ翌年の2001年から、定期的に同会場で激闘のゴングを鳴らしていた。
ところが、日本テレビ地上波放送の撤退、三沢光晴さんの死去などで観客動員に苦戦するようになり、2010年12月5日を最後に、日本武道館からは撤退していた。
日本武道館への再進出をぶち上げたのは、現GHCナショナル王者・拳王だった。2018年1・6後楽園ホール大会、当時GHCヘビー級王者だった拳王は、ファンに向けて「俺がお前らを武道館に連れて行く」とぶち上げた。
歓声をあげて「拳王宣言」を歓迎したファンだったが、まだまだ集客に苦労しており、正直、現実味には欠けていた。12・6代々木大会で拳王自身が「夢は諦めるな。夢を追いかけ続けろ。そうしたら、必ず実現する。それが夢ってもんだ」と感慨深げに、この3年間を振り返っている。
3年の間に団体運営の危機に陥ったこともあった。それでもノア戦士の奮闘に加え、サイバーエージェント・グループの一員となったことで、日本武道館への道が開けたといっていい。
拳王は「ノアが武道館に戻れると思ったヤツは、いなかったろ。でも、俺が言い続けた事で、心の片隅におけるようになっただろ。そこから、徐々に段々に夢は近づいて行くんだ」と、自分自身にも言い聞かせていた。
実際、拳王の言う通りだ。「いつかは、武道館」を、選手も関係者もそしてファンも合言葉にして、頑張って来た結果である。
12・6代々木大会では、もう1つの夢が実現した。リビング・レジェンドの武藤敬司がGHCヘビー級王者・潮崎豪への挑戦を決めた。
58歳の誕生日を今月23日に控えた武藤。「ちょっと年取っているけど、俺も夢は見ていいだろう。武道館では俺も数々の記憶に残る試合をやっている。俺にとってもいい場所。TPOが整った」と、満を持しての挑戦表明だった。
日本だけでなく世界のマットで天下を取ってきた武藤にとって、残された宿題がGHCベルト。「俺はインリン様とも戦ったんだ」という言葉に自信がみなぎった
12・6代々木大会で潮崎は杉浦貴を51分44秒の激闘の末に下している。コロナ禍の特別な年となった2020年、死闘を重ね、GHC王座を守り抜いた。38歳とレスラーの円熟期のど真ん中にいる。
スタミナでは武藤がかなうはずもない。武藤本人も「ロングラン、長時間試合をするのは、昔からのノアのスタイル。そういうバイブルだろうが、俺のバイブルは違う。ゴーイング・マイウェイでいく」と明言。ノア待望の10年ぶりの日本武道館大会とはいえ、あくまで武藤流スタイルを貫くことを予告する。
いくつもの夢が重なり、実現する2・12日本武道館大会。決戦の日まで、他の選手や関係者そしてファンの夢も複雑に絡み合ってくるはず。
いずれにせよ、プロレスの力が結集する熱い大会となるのは間違いない。「いつかは、武道館」。そう、その日がやってくる。