荒井麻珠からMaajuuへ―改名の裏側 新曲に込めた“過去の葛藤”「今だったらさらけ出してもいい」

ソロシンガーの荒井麻珠が7日、アーティスト名を「Maajuu」(読み:まじゅ)へと改め、再スタートを切った。同日には、改名後第1弾となる新曲『歪青-Karma-』もリリース。同曲には、これまで彼女が表に出すことのなかった、心の奥に秘めてきた感情が赤裸々につづられている。過去をリセットするのではなく、荒井麻珠からMaajuuへと進化を遂げる。インタビューを通じて、音楽と真っすぐに向き合い続けてきた彼女の思いを聞いた。

インタビューに応じたMaajuu【写真:増田美咲】
インタビューに応じたMaajuu【写真:増田美咲】

改名後初となる楽曲『歪青-Karma-』に込めた思い

 ソロシンガーの荒井麻珠が7日、アーティスト名を「Maajuu」(読み:まじゅ)へと改め、再スタートを切った。同日には、改名後第1弾となる新曲『歪青-Karma-』もリリース。同曲には、これまで彼女が表に出すことのなかった、心の奥に秘めてきた感情が赤裸々につづられている。過去をリセットするのではなく、荒井麻珠からMaajuuへと進化を遂げる。インタビューを通じて、音楽と真っすぐに向き合い続けてきた彼女の思いを聞いた。(取材・文=中村彰洋)

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 Maajuuは、2012年にボーカルグループ・Little Glee Monsterのメンバー「麻珠」として活動をスタートさせ、17年に脱退。約2年間の充電期間を経て、19年からは「荒井麻珠」としてソロ活動を続けてきた。そして、26年10月1日に、突如SNSアカウント名などを「Maajuu」に変更。7日には、改名と芸能事務所・ツインプラネットとの共同マネジメントの開始、さらには新曲のリリースを発表した。

「2年ぐらい前から、漠然と『改名したいな』と思っていました。なかなかピンとくるタイミングがなかったのですが、今回ツインさんとのご縁に恵まれて、『ここで自分の音楽人生を大きく動かしてみたい』と思いました。私が大切にしている軸や世界観を尊重しながら、新しい挑戦にも一緒にワクワクしながら向かっていってくれる。そんなすてきな方々と出会って、『この人たちと一緒に夢をかなえたい』と思いました」

 心機一転となる大きな決断だったが、「過去をリセットするわけではありません。今までの感謝を忘れず、荒井麻珠から進化してMaajuuになった感覚です」と思いを口にする。

 幼少期から音楽に囲まれながら育ってきたMaajuuにとって、音楽を好きになることは必然だった。「自分には音楽しかない」。そんな思いで、12年にオーディションに挑戦。Little Glee Monsterのメンバーとして活動をスタートさせることとなった。

「グループでの経験は私の中でとても大きかったです。その経験があったからこそ、ソロになってからも活動ができています」とグループへの感謝を口にする。その一方で、「もっと自分を高めたい」という音楽への飽くなき探究心から、ソロ活動への挑戦を決断した。

「グループとして、高校生の間に武道館に立つという夢をみんなで持っていました。その夢をかなえられた時、自分のために踏み出してみたいと考えるようになりました。自分自身と徹底的に向き合い、ボーカルとしての表現力を磨き、人間としても成長したいと思ったんです。自分を表現することが得意ではないからこそ、ソロという形で新しい目標や夢に踏み出してみたいと考えました」

 約2年間の休業期間は、声変わりに悩まされるなど、自身の「声」と向き合う期間となった。「とにかく早く歌いたいと思っていましたが、それが難しい期間でもあったので、自分の音楽の成長のために時間を費やした期間でした」。

改名決断のきっかけを明かした【写真:増田美咲】
改名決断のきっかけを明かした【写真:増田美咲】

「音楽で誰かの希望になりたい」という真っすぐな思い

 19年の再始動から約7年の月日がたったが、当初思い描いていた「自分を高める」という目標は、今も変わらずに持ち続けている。

「自分の声だけで、誰かの感情を揺さぶったり、勇気を届けたり、癒やしをあげたり、皆さんの日常に寄り添えるアーティストになりたいという思いはずっと持ち続けています。誰かの希望になりたいという思いで、歌い続けていきたいです。そのためにも自分自身を成長させていきたいです」

 自身がつらい時にも音楽に何度も救われてきた。「本当に音楽に支えられてきた人生でした。あまり自分のマイナスな感情を周りに言いたくはないので、自分で解決する性格なのですが、一人だとつらくなった時に側で必ず支えてくれていたのが音楽という存在でした。音楽がなかったら生きていけませんでした」。

 だからこそ、「音楽で誰かの希望になりたい」という、真っすぐな思いが活動の原動力となっている。

「ファンの方々に、苦しいことがあった時、支えられるような音楽を作っていきたいんです。それが私のアーティストとしての使命だと思っています。だからこそ、それをうまく届けられなかった時が、本当に悔しいんです。必ずしも自分が救えるとも、全員を救えるとも、思ってはいないですが、みんなを救いたいという気持ちがあって、そのために自分にできることを常に探しています。私にとっては、それが音楽なんです」

 今回リリースした『歪青-Karma-』は、Maajuuが初めて歌詞のプロットを書き上げた。幼少期に感じていた葛藤やトラウマといった、これまでは表に出すことができなかった過去と向き合った楽曲となっている。これまで以上に覚悟を持って臨んだ同曲へ込めた思いを、大粒の涙をこぼしながら明かした。

「“Maajuuはどういう人生を歩んできたか”をテーマに、自分自身と向き合いました。今までの自分だったら、『これを書くことで、誰かを傷つけてしまうんじゃないか』とストップをかけていたようなことを表現しています。

 これまでにも、周りのスタッフさんから、『もっと幼少期の葛藤などを表に出した方がいいんじゃない?』と言っていただくこともありました。でも、どうしても幼少期のトラウマを歌ってしまうと、どんな家族だったのかを詮索されてしまう。家族を傷つけたくないという葛藤があって、なかなか表現できずにいました。これまでの人生を否定しているとは絶対に思われたくないんです。今はそんな過去の自分すらも愛せるようになったからこそ、この曲を書けました。

 今回、この新チームでやっていくとなった時に、みんなそれぞれがMaajuuに対して、愛情を持ってやってくださっているからこそ、私の考え方も変わったんだと思います。だからこそ、『今だったらさらけ出してもいいんじゃないか』と思えるようになって、今までは隠していたかった部分をさらけ出すことのできた、自分の中でも大切な誇れる作品ができました」

新曲『歪青-Karma-』には覚悟が込められている【写真:増田美咲】
新曲『歪青-Karma-』には覚悟が込められている【写真:増田美咲】

人生の半分を捧げた歌手活動「私の人生には音楽しかない」

 そういった葛藤を乗り越えて表現したからこそ、完成した時の思いも大きかった。Maajuuが書き上げたプロットをもとに、ソロ活動の構想段階から約10年間、共に歩き続けてきたプロデューサーのJunxix.が歌詞を作り上げた。

「Junxix.は、私がソロ活動を始めてから10年間ずっと支えてくれていた存在で、誰よりも私のことを理解してくれています。私が書いた思いを、Junxix.が曲として歌詞にしてくれた時に、その歌詞を見て、すごく愛情を持って作ってくれたんだなというのが伝わってきました。一人で歌詞を見ながら、曲を聴いた時に大号泣して、『本当にこれで良かった』と安心に近い感覚になりました。改めてJunxix.と一緒に音楽をやってこれて、本当に良かったです」

 すでに人生の半分を歌手という職業に捧げてきた。「私の人生には音楽しかないです」とその思いは、一度もブレることはなかった。

「ファンの皆さんやスタッフさん、その時々で出会えた人たちとのつながりを大切にしていくことから、全ては始まると思っています。誰かのためになりたいという思いが、生きがいで原動力です」

「有名になりたい」という夢や目標は持っていない。「一人でも多くの人に希望を与えたい」。全てはその通過点にある。

「固定概念にとらわれない活動をしながら、表現の幅を広げていきたいです。私が音楽を嫌いになることは絶対にないです。何歳になっても歌い続けていたいです」

「本当に音楽が大好きなんです」――。まるで少女のように目をキラキラと輝かせながら、曇りのない言葉を口にする。Maajuuが表現する音楽という希望の光。その光は、出会ってくれた全ての人たちを照らしていく。

□Maajuu(まじゅ)1998年4月25日、東京都出身。2012年にボーカルグループ・Little Glee Monsterのメンバー「麻珠」として活動をスタート。14年にメジャー・デビューし、17年に脱退。約2年間の充電期間を経て、19年からは「荒井麻珠」としてソロ活動をスタート。21年にはバンダイナムコからソロデビューを果たした。26年10月1日にMaajuuに改名。7日に、改名後第1弾となる新曲『歪青-Karma-』をリリースした。

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