ウルフアロン、72歳レジェンドとの異次元対決 「名勝負数え歌」に衝撃「藤波さんは全て出し切ってる」
新日本プロレスのウルフアロンが、ドラディションの11・6東京・後楽園ホール大会で藤波辰爾との初対決に臨む。30歳のウルフに対し、藤波は72歳。新日本の旗揚げメンバーでもあるレジェンドを「達人の域に達している」と表したウルフは、柔道界のレジェンドでロサンゼルス五輪金メダリスト、山下泰裕さんの言葉を胸にリングに立つ。

胸に刻む山下泰裕さんの教え「とんでもない説得力でした」
新日本プロレスのウルフアロンが、ドラディションの11・6東京・後楽園ホール大会で藤波辰爾との初対決に臨む。30歳のウルフに対し、藤波は72歳。新日本の旗揚げメンバーでもあるレジェンドを「達人の域に達している」と表したウルフは、柔道界のレジェンドでロサンゼルス五輪金メダリスト、山下泰裕さんの言葉を胸にリングに立つ。
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ウルフは松本達哉と組み、藤波、ザック・セイバーJr.組と対戦する。9月30日に都内で行われた会見では、「まさか自分が藤波さんと戦うとは夢にも思っていなかった」と心境を告白。まるで父と子の“42歳差対決”に向け、「組み止めれば必ず投げます」と話すなど、臨戦態勢を整えた。
ウルフにとって、藤波は雲の上の存在だ。プロレスを見始めたのは2015年ごろで、藤波が現役バリバリで活躍していた昭和の時代をリアルタイムでは知らない。
それでも、過去の映像を見返すと、藤波の気迫に圧倒されたという。中でも長州力との「名勝負数え歌」は、最も印象に残った試合として脳裏に刻まれている。
「長州さんとの抗争は僕の中ですごく印象深いです。今、僕が新日本の中で藤田晃生と抗争していく中で、藤波さんの試合を見てたら気持ちの部分でもう全て出し切ってるなっていうのが過去の映像からでも伝わってくる。僕の試合ってまだそれが全て出し切れてないなっていうふうには思いますし、本当に相手のことを倒したいと思ってるからこそ、できる動きっていうのがある中で、僕自身まだ柔道時代の礼儀とかそういったものが抜け切れてない。悪い意味で抜け切れてない。そういったところが僕の中にあるなって藤波さんの試合を見て感じましたね」
キャリアの差は埋めようがない。この試合は、藤波のデビュー55周年記念試合として行われる。ウルフは、東京五輪柔道金メダリストの看板をひっさげ、今年1月にデビューしたばかり。
「いやもう達人の域に達してると思います。たぶん僕の知らない間合いからの、知らない動きっていうところですよね。一瞬の隙を見逃さない能力は卓越したものがあると思いますので、本当入場から最後終わって退場するまで、まったく気の抜けない戦いになってくるんじゃないかなって思います」
一方で、ウルフを支えるのは、柔道のキャリアだ。23年間、世界を相手に戦い、数々の強豪と死闘を繰り広げてきた。少年の頃は、年が離れた先生からも指導を受け、技術や精神の持ち方をたたき込まれてきた。
そんな柔道界で、ウルフが師と仰ぐのが、東海大の大先輩でもある山下さんだ。
「山下先生は現役を引退された後も、それこそまだコーチとか全日本の監督だったときに、現役だった篠原(信一)さんとか、小川直也さんの乱取り相手を務めていたぐらいだったらしいので。なんなら投げるときもあったそうです」
今でも語り草になるほどの強さ。その教えは、ウルフの体にも流れている。
「僕、山下先生の授業を受けてましたからね。一番覚えている言葉は、柔道界はルール変更が多くて、毎年ルールが変わっていく中で、それで勝てなくなってしまう選手も結構いたんですよね。脚持ちが禁止になったりとか。そういった中で、山下先生とルールの話になったとき、山下先生が『強いやつは何をしても強い』と言ったんです。『どんな条件でも強いやつは強いんだ』と。それがとても印象的で。山下先生が言うから、とんでもない説得力でしたね」
柔道時代、ウルフもルール改正の壁にたびたび直面した。足取りが禁止され、ポイントの「有効」も廃止された。めまぐるしく変化するルールに戸惑い、対応できずに脱落する選手もいる中で、ウルフは順応。東京五輪で世界の頂点をつかみ取った。
藤波戦は初めての他団体での試合。ウルフは山下さんの言葉を胸に、藤波と対峙する。
「藤波さんがプロレス界で55年やられていく中で、プロレスのスタイルってずっと変わりつつあるわけですよね。その全てを経験されている。なので、逆にその全てを味わいたい気持ちが強いですね」

藤波のウルフ評…「柔道が抜け切ってないから興味がある」
一方、藤波もそんなウルフの気持ちを正面から受け止めるつもりだ。
「遠慮はいらない。幸いにして、今まで自分に対する遠慮は、みんななかったんで。ザック・セイバーもそう、棚橋(弘至)もそう、高橋ヒロムもそう。本当もうちょっと気遣えよっていうくらい(笑い) でも、それは(リングの上では)逆なんでね。遠慮なく来てほしいなって」
1970年、16歳で日本プロレスに入門した藤波も、目上の人との戦いで学び、成長してきた。
「僕も最初は大ベテランの人と戦うときはちょっと緊張したけど、でもそれでみんな少しずつ自分の殻が破れてっていうか、ひと回りもふた回りも大きくなっていく。だから自分とやることによって、ウルフのひと回り違った大きなね、彼が成長する部分があればいい。そうなってほしいなっていうのはあるよね」
過去、坂口征二を始め、ウィリアム・ルスカ、小川直也など数多くの柔道出身レスラーを目にしてきた。
しかし、ウルフの魅力は、まだレスラーとしてのキャリアが浅いことだと藤波は指摘する。
「9か月でしょ。だからいいんですよね。何年かたってくると、自分たちの持ってる柔道らしさはどっかで薄れてきちゃう。坂口さんも自分が戦った坂口さんは、柔道時代の坂口さんとはまったく違う。まだまだ彼が柔道が抜け切ってないから、僕もすごく興味あるんですよ。なおさらね。彼も今、きれいな背負い投げで投げてるけど、彼の投げはそれだけじゃないだろうからね。違うウルフの投げも見てみたい。今までのきれいなウルフだけじゃなくて、今まで見たことないウルフを出してほしいなっていうのはあるよね」
“達人”との戦いで怪物が化ける瞬間はあるのか。異次元対決から目が離せない。
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