女優、映画監督、執筆業の“三刀流”小川紗良が2度目の映画監督役で感じたこと
早稲田大学の映画サークル出身の女優・小川紗良が、映画サークルの映画監督サラ役で主演したのが「ビューティフルドリーマー」(本広克行監督、公開中)だ。美術大学の映画研究会の面々が、「撮ったら恐ろしいことが起こる」と伝わるいわくつきの台本の映画化に挑むというストーリー。女優、映像作家、映画監督、執筆業の“三刀流”の小川が本作を通じて感じたこととは?
インタビュー、主演映画「ビューティフルドリーマー」が公開中
早稲田大学の映画サークル出身の女優・小川紗良が、映画サークルの映画監督サラ役で主演したのが「ビューティフルドリーマー」(本広克行監督、公開中)だ。美術大学の映画研究会の面々が、「撮ったら恐ろしいことが起こる」と伝わるいわくつきの台本の映画化に挑むというストーリー。女優、映像作家、映画監督、執筆業の“三刀流”の小川が本作を通じて感じたこととは?
――原案はアニメ界の巨匠・押井守監督の「夢みる人」。本広、押井守、小中和哉、上田慎一郎の4監督が「自由に映画を創る」をコンセプトに、立ち上げた映画実験レーベル「Cinema Lab」の第1弾の作品です。どんな形でオファーがあったのでしょうか。
「だいぶ前で覚えてないぐらいですが、本広さんが『紗良ちゃんで映画サークルの話を撮りたいんだよね』と言ってくれたんです。去年の春ぐらいに形となって企画書をいただいて、『夢じゃないんだ。あ、本当だったんだ』と思いました(笑)。本広さんは、大学時代から、本広さんがディレクターをやっていた『さぬき映画祭』で作品を流してくださったり、監督作も出演作も見てくださっていた方だったので、お話をいただけた時は素直にうれしかったです」
――小川さんも早稲田大学の映画サークル出身、しかも役名は“サラ”です。
「実は前にも『聖なるもの』(岩切一空監督、2018年)という作品で、自分の名前で大学のサークルで映画を撮る役をやったことがあったんです。それもエチュード即興も多い芝居だったんで、それと似ている空気はありました。自分の中では一応、役としてやっているんですけど、即興芝居が結構あったので、自分の特徴とかが出る部分はあったのかなって思います。みんなが本名だったので、休憩時間やけいこ後の食事でも、本名で呼びあうので、実際の関係性がちゃんといかせたのが、良かったなと思います」
――映画サークルの中にずっと撮りきれなかった台本があるというのはありそうな状況ですよね。
「伝説の先輩がいて、その人が途中で投げ出した企画という話なんですが、映画サークルの企画って、ちょっとポシャりがちですよね。完成せずに終わるみたいなことは、よくあるので、“あるある”だと思いました。撮影したのは去年の6月、10日間でしたが、美大のキャンパスだったので、キャンパス全体も活気にあふれていて、部室の雰囲気にも懐かしさがありました」
――映画監督でもある小川さんが、自分の名前で監督役をやるというのは、どんな気持ちですか?
「偶然にも自分の監督作(『海辺の金魚』)の準備期間と重なって、昼間は『ビューティフルドリーマー』の撮影をして、夜は自分の作品の脚本を書くみたいな生活でした。本当だったら、女優業と監督はあんまり並行してやりたくないんですけど、今回は、監督役だったので、実生活でやっていることが役作りにもなるだろうと思い、一日中映画のことを考えていました。いい感じに、疲れ具合、目の前のことに必死になる感じが出せたんじゃないかと思います」