「マツコの知らない世界」の敏腕ディレクターが映画で描く大相撲の“知らない世界”

TBS系バラエティー番組「マツコの知らない世界」などで総合演出として活躍してきた社員ディレクター、坂田栄治氏が映画監督デビューを果たした。ドキュメンタリー映画「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」(公開中)で、大相撲の裏側を描いている。音響を担当したサウンドデザイナーの染谷和孝氏とともに、制作にかける思いを語り合った。

インタビューに応じた坂田栄治監督(右)と染谷和孝氏【ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた坂田栄治監督(右)と染谷和孝氏【ENCOUNT編集部】

映画「相撲道」坂田栄治監督&サウンドデザイナーの染谷和孝氏インタビュー

 TBS系バラエティー番組「マツコの知らない世界」などで総合演出として活躍してきた社員ディレクター、坂田栄治氏が映画監督デビューを果たした。ドキュメンタリー映画「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」(公開中)で、大相撲の裏側を描いている。音響を担当したサウンドデザイナーの染谷和孝氏とともに、制作にかける思いを語り合った。

――テレビのディレクターである坂田さんが、相撲をテーマに映画を撮ろうと思ったのは?

坂田監督「オリンピックの年に日本人として日本のために何かやれないかと漠然と思っていたんです。20年ぐらいバラエティー番組をやってきて、ヒット番組も出しているので、作る技術に関しては自信がある。人気番組を作ったし、新しい挑戦をしたいと思った。『マツコの知らない世界』にゲストに来てくれた相撲漫画家の琴剣淳弥さんに、相撲の朝稽古を見せてもらったら、相撲は身近なものなのに、知らないことがありすぎる、と。こんなに稽古する力士がいっぱいいるのに、土俵は1つしかない。つまり、ここに立つというのは何回も勝つということですよね。そんなことがいっぱいあった。最初はテレビにしようかと思ったんですが、両国国技館で相撲を初めて見た時に、空気感、観客のざわめきがNHKの中継では描かれていないぞ、と思って、映画で撮ろうと思ったんです」

――最高レベルの音響システム「ドルビーアトモス」を採用した理由は? ドルビーアトモスは頭上を含む、あらゆる方向から音を出して、立体的な臨場感あふれる音響を実現するというものですね。

坂田監督「音と映像の美しさは記録としてちゃんと残さないといけないと思い、撮影前に染谷さんに相談したんです」

染谷氏「僕はスーパーバイザー的な関わりです。(監督は)『国技館の音をアトモスで表現したい』『稽古場での体と体がぶつかる音をみせたい』ということだったので、録音はサラウンド収録にたけている人にお願いし、インタビューも最低でも5.1チャンネルや7.1チャンネルで録音しています」

――ちゃんこ鍋を料理する場面では、野菜を切る音がサラウンドで聞こえてきました。

染谷氏「切る音がリレーのようにつながっていくように聞こえると思います。全編がアトモスで作られているので、天井のスピーカーがなくとも、音の成分はリアやフロントに振り分けられるので、音の要素としてはサラウンドで聞こえるんです」

坂田監督「そのシーンはいろんな人から指摘されますね。野菜を切る音が好きだったんで、サラウンドでお願いしました。サクサクという音が気持ちいいじゃないですか」

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