31歳女性アナ、移住先の米国で第1子出産 手厚い医療保険…「母乳育児への熱量が高い」【菅久瑛麻コラム】
昨夏から、31歳のフリーアナウンサーが米ロサンゼルス(LA)で暮らしている。富山、埼玉のテレビ局でキャリアを積んだ菅久瑛麻(すがひさ・えま)。彼女は現地の大学院に留学した夫をサポートしている。1度、仕事に区切りをつけての移住ゆえにともに無収入。果たして、日本では考えられない程の物価高にある米国でやっていけるか……。そんな不安もある中で感じた驚き、戸惑い、感動をつづる不定期コラム「フリーアナ・菅久瑛麻、物価高にあ然…初めての米国生活」の第14回(最終回)テーマは「米国での妊娠、出産」です。

第14回「米国での妊娠、出産」
昨夏から、31歳のフリーアナウンサーが米ロサンゼルス(LA)で暮らしている。富山、埼玉のテレビ局でキャリアを積んだ菅久瑛麻(すがひさ・えま)。彼女は現地の大学院に留学した夫をサポートしている。1度、仕事に区切りをつけての移住ゆえにともに無収入。果たして、日本では考えられない程の物価高にある米国でやっていけるか……。そんな不安もある中で感じた驚き、戸惑い、感動をつづる不定期コラム「フリーアナ・菅久瑛麻、物価高にあ然…初めての米国生活」の第14回(最終回)テーマは「米国での妊娠、出産」です。
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皆さま、こんにちは。私はロサンゼルスに来て今月で1年。実は先日、第1子を出産しました。そこで、今回はアメリカでの妊娠、出産の経験をお伝えしたいと思います。
異国の地での妊娠、出産。言葉の壁や文化の違いを感じつつ、私は「ママになる準備」を進めていました。最初に立ちはだかったには、複雑な医療保険システムです。契約している保険によって、行ける病院や診てもらえる医師が異なるのです。私は知り合いの日本人から教えてもらったカリフォルニア州の医療保険に加入し、その保険で妊婦健診から出産、産後検診までカバーすることができました。つまり、自己負担なしだったのです。
最初の検診は妊娠3か月(9週)の時でした。日本では、妊娠を自覚したらすぐに産婦人科で診てもらえるようですが、アメリカでは初診は8週目以降と聞かされ、その日を待ちました。エコーで小さな我が子の姿を見た時は、「本当に命が宿っているんだ」と不思議な気持ちになりましたが、流れで遺伝子検査も実施。すぐに結果が出て、胎児のDNA情報や性別も分かりました。
妊婦健診は妊娠8か月までは月に1回、9か月には月に2回、「いつ生まれても正常な出産になりやすい」とされる正期産の期間は1週間に1回ありました。印象的だったのは、医師のポジティブさです。健診の際にはいつも褒めてくれて、「妊娠中に気をつけて方がいいことは何ですか」と聞くと、Just enjoy your pregnancy!(細かいことは気にせず、妊娠という特別な時間を楽しんで)。私は、あまりに明るい声かけで驚きました。運動についても、日本では「妊娠初期は安静にしておくように」と言われることが多いと聞きますが、私の担当医は「体調が良ければOK」とのことだったので、私はヨガやウォーキングを日課にしていました。
そんな日々で、アメリカ人の知り合いに妊娠の報告した時のことです。知人は私に「おめでとう! ベイビーレジストリは作った? 送って!」と言ってきました。聞いたことがなかった「ベイビーレジストリ」。調べてみると、Amazonなどで出産準備グッズのリストを作ることでした。そのリストを家族や友人へ送り、受け取った人はその中からプレゼントを選んで贈る慣習。私は「確実に相手のほしいものをプレゼントすることができる良いシステムだな」と感じました。さらに企業からも、“お祝いのギフトボックス”がもらえます。中には哺乳びんやオムツ、ベビー服まで入っていて、それらが産後すぐに大活躍しました。

計画無痛分娩を選択、産後は大忙し
出産は、計画無痛分娩を選びました。アメリカではほとんどの人が無痛分娩を選択するそうで、私が通っていた病院は麻酔科医が24時間常駐。驚いたのは、その方法です。最初に医師が背骨に麻酔を入れた後、自分で麻酔の量を調整できるボタンを渡されます。さらに薬を追加したい場合は、自分で追加できるという仕組みです。ちなみに、追加できる量は調整してあるので、「安全面では問題ない」と医師から伝えられました。幸い私は麻酔の効きが良かったのでほとんど追加せず、出産することができました。
出産翌日、すぐに母子同室での母乳や沐浴指導、新生児の手続き書類関連などでひっきりなしにさまざまな担当者が部屋を訪れ、大忙し。とりわけ生んだ直後に出る母乳は、赤ちゃんにとって栄養満点だということで、母乳指導の担当者がとても熱心に教えてくれました。また、医師や看護師も母乳の量を頻繁に確認するなど、母乳育児への熱量の高さを感じました。入院から退院までは3泊4日。あまりに目まぐるしく、気づいたら帰宅していたという感覚でした。
新生児は2、3時間おきに母乳やミルクを飲み、1日10回以上オムツを替えるので、24時間があっという間に過ぎていきます。昼夜の区別もつかない赤ちゃんとの生活。もちろん、夜泣きにも立ち向かっています。産後、自分の体の回復もままならない中で、心身ともにかなり大変でしたが、そんな時にもアメリカ人の明るさに救われています。病室を出て誰かとすれ違う度に「おめでとう!」、街を歩いていると「育児、頑張ってね!」と声をかけられます。そんな声に支えられながら、これからも異国での育児を頑張っていきたいと思います。
□菅久瑛麻(すがひさ・えま) 1993年10月7日、ドイツ生まれ。白百合女子大文学部英語英文学科卒。2016年4月、富山県のチューリップテレビにアナウンサーとして入社。情報番組、報道番組のMCなどを担当し、20年3月末に退職。フリーアナウンサーに転身し、同年4月から23年3月まで、テレビ埼玉で情報番組のMCなどを担当。資格は温泉ソムリエ、食生活アドバイザー、防災士、証券外務員二種、MBAなど。162センチ。
※昨年8月から続けてきたコラム「フリーアナ・菅久瑛麻、物価高にあ然…初めての米国生活」は、今回を持って最終回にさせていただきます。ご愛読、ありがとうございました。
