俳優として常に第一線で活躍してきた村上弘明さん(63)は、プライベートでは4人の子をもつ父親。前編では自身の父親のこと、子どもたちの幼い頃の子育てについて聞いたが、後編では子どもたち1人1人――長女・未久里さん(27、社会人)、長男・由歩さん(25、俳優志望)、次女(20、大学生)、次男(16、高校生)への思いや願いについて聞いた。

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　ネーティブの英語を学んだおかげか、長女は米国に留学しました。僕は基本的に女の子の留学は反対でした。「女の子を1人でやるのは、絶対やめたほうがいい」と僕の友人がいろんなことを言うわけです。それで妻に相談する。「こういう話があるんだが」と。すると妻は、「危ないところに行かなければいい話で、本人の意識の問題。本人はどうしても行きたいと言っているんだから行かせましょう」と。

　それでも僕は心配で条件を付けた。向こうの新学期は9月から。その前の4月から8月までプレの授業がある。本当は向こうに行って受けるのですが、長女の時は日本で入ることができた。もちろん、試験を受けて入るのですが、5クラスあって、1つだけ特修クラスがあり、そこだけ授業料が半額になる。入れるのはわずかで、僕は「そのクラスに入れたら認めるよ」と。入れないと思っていたのですが、本人が頑張って入ってしまった。

　それでも心配で、成田で別れる時、ハグなんかしたことがなかったのに、長女をハグして、ぐっと込み上げるものがありました。その2日後のことです。家にいると、長女の声が聞こえる。長男がスカイプで長女と話をしているんです。僕はそんなことができるとは知らなかったので、「何それ」といった感じです。一昨日涙の別れをしたのに、「はーい、パパ、元気」って(笑)。「国際電話は高いんじゃないのか」と言うと、「何言ってんの。タダだよ」と。その長女は今、英国に住んでいます。

　大学生の次女もおそらく海外に住むことになると思います。僕は映画好きでレーザーディスクやDVDを500枚程持っていて、それを子どもたちが見ていて、子どもたちもみんな映画が好き。その影響かどうか、次女は映像関係の仕事をしたいと言っています。俳優ではなく、制作側ですね。