藤井聡太七段の偉業達成の棋聖戦を総括! 真田圭一八段が分析する藤井新棋聖強さの秘密

藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(棋王、王将、36)に挑んだ第91期ヒューリック杯棋聖戦が16日決着し、藤井聡太七段が17歳11か月の史上最年少で初タイトルを獲得した。新型コロナウイルス感染症の暗いニュースが多いなか、高校生が成し遂げた30年ぶりの偉業達成に、将棋を知らない人も巻き込んで日本中が沸いた。この感動的な棋聖戦を、25歳でタイトル戦・竜王戦の挑戦経験がある真田圭一八段(47)が将棋通でなくてもわかるように総括した。

藤井聡太【写真:Getty Images】
藤井聡太【写真:Getty Images】

大熱戦の第1局には藤井七段の長所が凝縮

 藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(棋王、王将、36)に挑んだ第91期ヒューリック杯棋聖戦が16日決着し、藤井聡太七段が17歳11か月の史上最年少で初タイトルを獲得した。新型コロナウイルス感染症の暗いニュースが多いなか、高校生が成し遂げた30年ぶりの偉業達成に、将棋を知らない人たちの関心も集め日本中が沸いた。この感動的な棋聖戦を、25歳でタイトル戦・竜王戦の挑戦経験がある真田圭一八段(47)が将棋通でなくてもわかるように総括した。

 藤井聡太七段が渡辺明三冠に挑戦した棋聖戦五番勝負。結果は3勝1敗で藤井新棋聖の誕生となりました。改めて振り返ってみたいと思います。

 まず注目を集めたのは第1局。相手は名人戦挑戦中でもある渡辺三冠。しかもタイトル防衛戦ですから、当然本気度も違います。藤井七段がこの実力第一人者にどのような戦いぶりを示すのか。結果だけでなく内容にも関心が集まりました。

 始まってみると、周囲の期待に違わぬ大熱戦。最終盤までどちらが勝つか分からない好局となりました。この1局には藤井将棋の長所が凝縮されていました。まず、難しい局面で自分からバランスを崩さない。そして攻め一方、受け一方ではなく、強気に踏み込む手、じっとしている手等、指し手の方向性がかたよらないのも特徴。その局面局面においての判断力、将棋の言葉で言う「大局観」が優れている証拠です。

 そして卓越した終盤力。渡辺三冠も非常に終盤力の高い棋士ですが、それをも上回ろうかという強さ。結局第1局は紙一重で終盤を抜け出して藤井勝ち。タイトル戦という特別な舞台でも、全く動じることのない内容で、改めて評価が高まりました。

次のページへ (2/4) 第2局振り返り
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