きっかけは就活のストレス発散… プロを目指す吉本の“女ゲーマー”のプライドとは

“笑いの総合商社”吉本興業が運営するプロゲーマー集団「よしもとゲーミング」。世界のeスポーツシーンでも活躍するトッププレイヤーたちの中で、唯一の女性メンバーで「スマブラ」シリーズを中心に活動を行っているぴよねねにインタビュー。プロゲーマー候補生としてのチームでの活動、女性プロを目指す矜持、そしてプレイヤーとしての目標を語ってもらった。

「よしもとゲーミング」所属のゲーマー・ぴよねね。「スマブラ」でトップを目指す。
「よしもとゲーミング」所属のゲーマー・ぴよねね。「スマブラ」でトップを目指す。

「華やかと言われる一方で、男性より劣っていると言われることも」女性プロの地位向上も目指す

“笑いの総合商社”吉本興業が運営するプロゲーマー集団「よしもとゲーミング」。世界のeスポーツシーンでも活躍するトッププレイヤーたちの中で、唯一の女性メンバーで「スマブラ」シリーズを中心に活動を行っているぴよねねにインタビュー。プロゲーマー候補生としてのチームでの活動、女性プロを目指す矜持、そしてプレイヤーとしての目標を語ってもらった。

――ぴよねねさんが「よしもとゲーミング」に所属することになったいきさつを教えてください。

「私は『大乱闘スマッシュブラザーズ(通称スマブラ) SPECIAL』というNintendo Switchのゲームをプレイしています。『よしもとゲーミング』に所属してからは1年くらい。所属したのは、スマブラを始めてから3か月目くらいの早い段階でした。その時はまだなにも分かっていない状態で、適当に技を振って、勝って……という感じだったんですけど、そこで『よしもとゲーミング』のRAINさんにお声掛けいただいて、育成枠として所属することになりました」(RAIN選手:スマブラシリーズで活躍してきたトッププレイヤー)

――プロプレイヤーを目指そうという気持ちは最初から持っていたのでしょうか。

「最初は遊びでやっていたんですけど、オンラインで上位3%しか入れない『VIPマッチ』を目指してやるようになってから、本気で“勝ちたい”という気持ちが出てきたんです。昔からゲームが好きだったので、大会のような男の人が多い空間とかに行くことは慣れていましたし、スマブラもそういう大会があるんだと知ってから行くようになりました。

 格闘ゲームの前は、RPGをプレイすることが多かったです。『ドラクエ』(ドラゴンクエストシリーズ)とか、『ぼくのなつやすみ』とかが好きで。あとは、ゲームセンターにあるカードゲームの『ムシキング』、『遊戯王』も好きでしたね。格ゲーである『スマブラ』に挑戦したのは、就職活動のストレス発散が目的でした。就活って、いっぱい受けて、いっぱい落ちての繰り返しでストレスがたまるよと言われたので…。ストレス発散にはゲームだと自分の中で思っていたので、とりあえずSwitchを買って、なんのゲームをしようかなと思った時に、格闘ゲームだったらより一層ストレス発散ができるんじゃないかと考えたことが始めたきっかけです

――新型コロナウイルスの影響でオフラインの大会を開催することが難しくなっていますが、現在はどんな活動をされてますか。

「今はオンラインでバリバリやっています。非公式ではありますが、オンラインでは500人規模の大会があったりするので、それでなんとか頑張っています」

――チームに所属する前と後で、ゲームに対する取り組み方は変わりましたか。

「入る前は、その界隈に本当に誰も知り合いもいないし、話しかけづらさとかもあったので、身内だけで頑張って対戦して技術を上げるっていう取り組み方でした。でも『よしもとゲーミング』に入ってから、『スマブラハウス』というYoutubeチャンネルに出させてもらって、そこで上位勢の方に知っていただけたので、わからないことがあったらすぐ聞けたりするようになりました。うまい方はどうしたらうまくなるかとか細かく教えてくれますし、メンタル面とかでもアドバイスをくれたり。プロでもアマでも、うまい人は言語化するのがとても上手だと思います」

――その中でも、印象に残っている言葉はありますか?

「チームの人ではないですが、大会に一緒に出てくれた子に『競り合っているときに、守って負けるよりも攻めて負ける方がいい。守って負けるのは本当にもったいないことだから、競っているときは強気でいくべきだ』と言われたことです」

――プロの舞台ではスポンサーを背負ってプレイすることになりますが、プレッシャーや緊張を感じることはありますか。

「私は育成の身ですし、プレッシャーに感じることもあります。でも、ゆくゆくはそのプレッシャーをなくして胸を張っていけたらいいなと思います。始めたばかりのころは、がっちがちに緊張していたんですけど、最近はほとんどないです。慣れが一番大きいのかなと思いますね」

――「よしもとゲーミング」で活動して1年、ご自身の中で一番成長を実感するところはどこですか。

「一番は、スマブラの実力が向上しました。入った当初とは全然比べ物にならないくらい成長していると思います。最終的な目標は、日本の大会で結果を残すこと。そして、その先は世界の大会で結果を残すこと。そこに向けて、コツコツと小さい目標を立ててやっています。『スマブラ』にはレートというものがあって、その数値で自分がどのくらいのレベルなのかが目に見えてわかるんです。そのレートを上げていくというのが、直近の目標です」

――女性プロゲーマーは以前よりも増えたとはいえまだまだ少ないのが現状です。業界の中で、女性プロの立ち位置について思うことがあれば教えてください。

「華やかだと言われる一方で、男性より実力が劣っていると言われることもあるんです。それでも、その辺の男性より強いと思っているので(笑)。そこでバシッと言えるためには、大きい大会で結果を残すことが一番大事なのかなって思っています」

――ぴよねねさんは、今後日本のeスポーツシーンをどうやって盛り上げていきたいと考えていますか。

「以前3on3の大会に出場したときに、普通であれば私が他の男性2名を誘って出るとか、女性1人男性2人というチームになることが多いんですが、そのときは女性2人に声かけて、女性最強3人グループを作って配信もしたんです。見に来てくださる方が結構多くって。実力もそこそこある子たちが揃ったので、勝ち上がることもできたし。そこではいいものを見せれたんじゃないかなって思っています!今後も何人かでプレイする機会があれば、積極的に女性を誘って盛り上げていけたらいいですね」

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