【電波生活】コロナ禍の「のど自慢」舞台裏 お祭りムードだったかつての予選会とは「全く違います」

人気番組や注目番組の舞台裏を探る企画。今回は「NHKのど自慢」(日曜午後0時15分)。1946年からラジオで、1953年からはテレビで放送されている長寿番組。日本全国の会場で、地元の人たちが自慢の歌声を披露する。2013年から司会を務め、今年10年目となる小田切千アナウンサーに司会のこだわりや放送ではあまり紹介されない予選の様子を聞いた。するとコロナ禍に奮闘する姿があった。

「NHKのど自慢」の司会を務める小田切千アナ【写真:(C)NHK】
「NHKのど自慢」の司会を務める小田切千アナ【写真:(C)NHK】

3月下旬時点までは予選会の景色に変化 出場組数減らし、会場の出入りも制限

 人気番組や注目番組の舞台裏を探る企画。今回は「NHKのど自慢」(日曜午後0時15分)。1946年からラジオで、1953年からはテレビで放送されている長寿番組。日本全国の会場で、地元の人たちが自慢の歌声を披露する。2013年から司会を務め、今年10年目となる小田切千アナウンサーに司会のこだわりや放送ではあまり紹介されない予選の様子を聞いた。するとコロナ禍に奮闘する姿があった。(取材・文=中野由喜)

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「この番組は密が大好きな番組。密になって“なんぼ”というくらいです。それができない中、どう番組のクオリティーを維持していくか。どう出場者の方のお気持ちを探り、放送で体現し、情感あふれるものとしてステージ上で表現できるか。悩みつつ、考えながらやっています。出場される方も毎回違い、毎回違うテイストで盛り上がります。すべてが毎回、新鮮。その新鮮さを自分の中に保ちつつ、いかにして距離を取りながら気持ちの部分を密にして維持していくかに腐心しています」

 予選会もコロナ禍の前後では状況が大きく違うようだ。

「コロナ禍前の予選会は250組の方に来ていただき、会場の出入りも自由。250組の家族や友人が会場に来て、思い思いの応援で大盛り上がりになります。本番は無理だろうから予選だけでも応援しようと横断幕を作って掲げる人も。会場は熱気でいっぱいです。会場の外では地元の自治体の方々が出店を広げて焼きそばや野菜を売る姿も。ちょっとしたお祭りです。生放送より予選会の方が面白いと、予選会ファンの方もいて、県をまたいで来る人もいます。本当は密を作りたいんです。いろんな密があって『のど自慢』のコミュニティーができ、予選会を通じて歌仲間ができて結婚した人もいます。予選会のコミュニティー作りは『のど自慢』には大事。リピーターを生み、見て、参加してくれる形になるんです」

 コロナ禍で予選会はどう変わったのか。

「今の段階(3月下旬時点)は、予選会の会場には応援のお客さんを入れず、歌う方も250組から180組に減らし、会場に入るのは180組だけ。しかも30組ずつに分けて入ってもらっています。30組の方が歌い終わると帰っていただき、10分間換気をして次の30組に入っていただく形。感染対策は練りに練ってやっています。当初の予選会の雰囲気とは全く違います」

 司会として心掛けていることは。

「番組のテーマは明るく、楽しく、元気よく。出場者の歌とお話でそれを感じてもらえるように進行するスタンスはコロナ禍前も後も変わっていません。私と出場者の実質的な距離も離れてインタビューをしないといけないし、出場者の皆さんも会いたくても会えない人がいます。古里に帰れない人もいます。その距離感が長くなってきています。少しでも気持ちはちゃんとあるよと伝え、気持ちの部分を近づける手助けをしたいと思います」

 陰の努力をたずねると番組中止期間の様子を明かしてくれた。

「皆さんと同じように僕らも開きたいんです。でも、安心して歌っていただかないといけない。そこをちゃんと担保できるかどうか。番組が中止の間にみんな悩み、いろんな仕組みを考え直し、フォーマットを作り直し、ということをやってきたので、やっと今、開けています。スタッフ一同、悩みながら考えてきました」

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