T-BOLAN森友、29年ぶりアルバムに込めた覚悟「今の俺たちのすべてを注ぎ込んだ」

ロックバンド「T-BOLAN」が1993年以来となるオリジナルアルバム「愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~」を14日に発売した。セカンドシングル「離したくはない」(91年)が異例のロングヒットを記録し、一気にスターダムへと登り詰めたが、ボーカルの森友嵐士が心因性発声障害で歌えなくなり、その後もベースの上野博文がくも膜下出血で生死をさまようなど、幾度となくバンドは苦境に立たされた。「もうこれで終わりか……」そんな周りの心配を跳ねのけ、固い結束力で何度も何度も苦難を乗り越えてきた4人。そんな唯一無二のロックバンドが作り上げた28年分の“愛の結晶”について森友に聞いた。

ENCOUNTでは森友嵐士のインタビューを5回にわたって紹介【写真:塩見徹】
ENCOUNTでは森友嵐士のインタビューを5回にわたって紹介【写真:塩見徹】

いつまでもT-BOLANであり続ける大切さ

 ロックバンド「T-BOLAN」が1993年以来となるオリジナルアルバム「愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~」を14日に発売した。セカンドシングル「離したくはない」(91年)が異例のロングヒットを記録し、一気にスターダムへと登り詰めたが、ボーカルの森友嵐士が心因性発声障害で歌えなくなり、その後もベースの上野博文がくも膜下出血で生死をさまようなど、幾度となくバンドは苦境に立たされた。「もうこれで終わりか……」そんな周りの心配を跳ねのけ、固い結束力で何度も何度も苦難を乗り越えてきた4人。そんな唯一無二のロックバンドが作り上げた28年分の“愛の結晶”について森友に聞いた。(インタビュー・文=福嶋剛)

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――T-BOLANとして今もここに立ち続けているという覚悟(=プライド)を感じたアルバムです。

「ありがとうございます。まあ俺たちが今、どのステージに立っているのかは分からないけれどT-BOLANであり続けるっていうのはあるよね。いつの時代も今が大切だから。今回のアルバムも今の俺たちのすべてを注ぎ込みました」

――「この先何があったとしても後悔はない」そんな気持ちで臨んだと?

「そうです。もし明日地球が吹っ飛んだらそりゃ困るけど(笑)。でも、今はそれに近いくらいなのかもいれない。それは地球なのか人類なのかわからないけれど、ものすごく“生き方”を問いかけられていて、それがいろんな形で現象として出てきている気がする。そういった現象を俺たち人類は果たして受け止めることができるのか? そんな問いかけを1人1人にされているような気がする。人類がこれまで積み上げてきた何かが今、跳ね返ってきているような」

――今回のアルバム「愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~」は天才物理学者のアインシュタインが娘に残したとされる手紙に書かれていたメッセージがきっかけだったそうですね。

「今の時代にピタリと当てはまるとても大切なメッセージが書かれていたんです。俺たちの生き方が変われば跳ね返ってくるものも変わる。もし地球や人類にゼロという場所があるとするならば、そのゼロ地点に戻す力は人間に備わっていて、その最大で唯一の力は『愛』だと。それを読んでものすごく共感したんです。俺たちができることは彼のメッセージの言葉を代弁した音楽を作ること、つまり人類が持つ最大の力(=愛)をテーマにしたメッセージアルバムを作ろうと……」

――アルバムを聴かせていただき率直に28年前と変わらないT-BOLANがそこに立っているという印象でした。加えてメンバーの皆さんそれぞれがたどってきた時間や経験が演奏に込められていて、リアルタイム世代のファンにとっては、あの頃(=過去)と今(=現在)が1つにつながるような不思議でいてうれしい感覚でした。

「そう感じてもらえたら俺たちもうれしいです。実は20数年ぶりの全国ツアーを始めようとしていた頃に、ちゃんとファンのみんなと再会できるのかなって、どこか不安があったんです。例えると、恋人同士だった人が『ちょっと旅に出てくるわ』って音沙汰もなく消えてしまって、20数年ぶりに突如そいつが現れて『よー! ご飯でも行く?』みたいな(笑)。そりゃあ突然出てきてそう言われたら戸惑っちゃうよね? なんかそれと似たような感情がライブに来てくれるファンと俺たちの間の関係であったわけです。だから来てくれたファンのみんなには本当にありがとうっていう気持ちでいっぱいでした。それだけ時間が過ぎた中でこうやって活動ができるっていうことは、俺たちにとって本当に幸せなことだなって感じています」

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