【週末は女子プロレス♯23】元女性教師が両親に土下座してプロレス転身 83戦目の初勝利で果たした「3年の約束」

シングル43戦目、通算83戦目でつかんだ涙の初勝利だった。スターダムのレディ・Cは、高校、中学の家庭科教師からプロレスラーに転身した異色の経歴の持ち主だ。入門から1年かけ昨年11月14日にデビュー。1周年が先か、初勝利が先か、周囲をやきもきさせていたのだが、9・20後楽園ホールでアクトレスガールズから戦場を移した月山和香からジャイアント・バックブリーカーで待望の勝ち名乗り、初勝利まで10か月の時間を要した。しかもデビューの場であり、プロレスにハマった思い出の場所でもあるだけに、喜びもひとしおだった。

11・14後楽園でデビュー1周年を迎えるレディ・C【写真:新井宏】
11・14後楽園でデビュー1周年を迎えるレディ・C【写真:新井宏】

初観戦の新日本プロレスに衝撃「こんな世界があるんだ」

 シングル43戦目、通算83戦目でつかんだ涙の初勝利だった。スターダムのレディ・Cは、高校、中学の家庭科教師からプロレスラーに転身した異色の経歴の持ち主だ。入門から1年かけ昨年11月14日にデビュー。1周年が先か、初勝利が先か、周囲をやきもきさせていたのだが、9・20後楽園ホールでアクトレスガールズから戦場を移した月山和香からジャイアント・バックブリーカーで待望の勝ち名乗り、初勝利まで10か月の時間を要した。しかもデビューの場であり、プロレスにハマった思い出の場所でもあるだけに、喜びもひとしおだった。

 177センチは現役女子レスラーの最長身だ。小さいころから背はクラスでもずっと一番高かった。が、運動に興味はなく、中学時代に剣道の部活をかじったくらい。いくつかの運動部から誘われたが、「ボールを触るたびに突き指するほど」球技が苦手だった。服飾科のある大学に通い、将来は服をデザインしたり縫う仕事に就きたいと思っていた。

「教員の免許が取れる授業がものすごくおもしろくて、教育実習で生徒たちに教えることにすごくやりがいを感じたんですね」

 学校の先生になろうと決心した彼女は、そのまま高校の家庭科教師になった。

「授業はものすごく楽しかったです。生徒たちの反応をみるのもうれしくて。ただ、毎日忙しくてプライベートの時間がまったく取れず疲れ切っちゃったときがあったんですよね」

 そんな頃、同僚の女性教師からプロレスの話を聞かされた。彼女はレスラーのテーマ曲を聞かせたりしてプロレスの魅力について熱く語ってくれた。そうこうするうちに、初めてプロレスに触れる機会がやってくる。後楽園ホールで新日本プロレスを観戦したのだ。

「たまたま生徒たちがいない時があって、偶然その日に試合があったんですよ。リングサイド席を当日券で購入しました。そうしたら場外戦に巻き込まれちゃって。レスラーが目の前に飛んできて、汗だくでバチンバチンと叩き合う姿を目の当たりにしたんですね。その迫力にこんな世界があるんだと衝撃を受けたんです」

 当時はまだ女子プロレスの存在さえ知らなかった。が、プロレスにハマったレディは団体主催のワークショップがあることを知る。そのなかで見つけたのがスターダムだった。

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