「人は結果論で語りがち」 頭脳戦eスポーツのトッププロが語る“運要素”との付き合い方

デジタルカードゲーム「シャドウバース」のプロリーグである「RAGE Shadowverse Pro League」は、今年で4シーズン目を迎えた。2019-20シーズン王者のAXIZ(アクシズ)は競技シーンの有力選手をそろえているが、中でも強豪プレイヤーとして名を馳せているのがRumoiだ。トッププロとして活躍し、個人で参加する大会でも継続的に好成績を収めるRumoiに、時には運も絡むカードゲームで最前線を走り続けるための思考などについて聞いた。今回は前編。

プロeスポーツチーム「AXIZ」で活躍するRumoi
プロeスポーツチーム「AXIZ」で活躍するRumoi

プロeスポーツチーム・AXIZのRumoi カードゲームで最も大事にしていることとは

 デジタルカードゲーム「シャドウバース」のプロリーグである「RAGE Shadowverse Pro League」は、今年で4シーズン目を迎えた。2019-20シーズン王者のAXIZ(アクシズ)は競技シーンの有力選手をそろえているが、中でも強豪プレイヤーとして名を馳せているのがRumoiだ。トッププロとして活躍し、個人で参加する大会でも継続的に好成績を収めるRumoiに、時には運も絡むカードゲームで最前線を走り続けるための思考などについて聞いた。今回は前編。(取材・構成=片村光博)

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 もともとはシャドウバースを楽しむ一人の学生として過ごしていたRumoi。プロリーグ選手の募集に応募するつもりはなかったとのことだが、現在のチームメートでもあるGemoを通じてAXIZとの縁があり、「学生生活をそのまま送って就職するのもいいけど、チャレンジしてみてもいい」との思いからプロ活動を開始した。実力的にプロリーグで戦えるという自信は持ちつつも、簡単な世界ではないことも理解していたという。

「外から見ていて、『人前で戦うのは難しいんだろうな』と思っていましたし、実際に入ってみて難しさは感じました。もう一つは、プロという立場でゲームをするということについてです。アマチュアではずっと、勝つことに重きを置きつつも、娯楽としてゲームをやってきました。しかし、プロでは結果がしっかり求められる上に、ゲーム自体の盛り上がり、これからのeスポーツの発展にも貢献するために動かなければいけない。その大変さは感じていましたね」

 それでも、参入1年目の前期シーズンでは勝率100%を記録し、チームの躍進に貢献。年間でもチームの優勝に貢献するという、華々しいデビューを飾った。今シーズンこそ不調が続いているものの、リーグ屈指の実力者として認知されている。そんな“トッププロ”として活躍するRumoiは、どのような思考を持ってカードゲームという頭脳戦に臨んでいるのだろうか。

「カードゲームはどうしても運が絡むので、強い選手だからといって常勝とはいきません。だからこそ一番大事にしているのは、実戦でいかに再現性を生み出すかということや、練習のときの運に惑わされて偏った見方をしないことです。どんなに運が絡む複雑なゲームでも、最序盤には何回も同じシーンに遭遇します。例えばデッキA対デッキBを何度も繰り返して、2ターン目に何を出すのが正解か。そうした場面でミスをしてしまうと、話にならなくなってしまう、運に左右されるゲームでも再現性のある場面はあって、そこでしっかりとした選択を取れるようにする。

 また、偏った見方をしないという部分では、例としてデッキAとデッキBではAが55%の確率で勝てるような相性だとしても、練習段階では逆にBがほとんど勝つということもあります。そこで結果だけを見て『Bが有利だ』となると、大事な部分を見誤ってしまう。運が絡むゲームだと認めた上で、その中でも実力が反映できるように再現性のある部分でミスしないこと、そして偏った見方をしないこと。この2点を気を付けるようにしています」

 実戦でのベストな選択のために練習を重ね、目先の結果に惑わされない。この2つのポイントはカードゲームを含むeスポーツに限らず、スポーツに競技的に取り組む際にも程度の差こそあれ共通することだろう。そして、特に後者の“偏った見方をしない”というのは、特に自分に不利益な結果があったときに難しいものとなる。「僕は結構、引きずりがちなタイプ」というRumoiも例外ではないが、仲間とともに精査して冷静に見つめ直すようにしているという。

「人は結果論で語りがちで、特にカードゲームでは多い傾向にありますよね。少なくとも、僕はそうしたものに惑わされないようにしようと思っています。もちろんそれでも惑わされてしまうこともあるので、そんなときは周りの意見も聞きながら修正することを意識しています。チーム内で意見をぶつけ合って、意見を一つにまとめていくのが理想ですね」

 他のジャンルと比べても運要素の大きいカードゲームは、時として実力が反映されない結果が生まれることもあり、そこが面白さとしても認識される。その中でプロ選手としてトップを走り続けるRumoiは、運に左右されない部分を突き詰めていく思考を持って鍛錬を続けている。

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