小野田少尉を描いたカンヌ反響の話題作 遠藤雄弥と津田寛治が明かす「大冒険」の撮影秘話

俳優の遠藤雄弥と津田寛治が主演した仏独伊ベルギー日本合作映画「ONODA 一万夜を越えて」(アルチュール・アラリ監督)が10月8日に全国公開される。太平洋戦争終結後もジャングルに残って生き抜き約30年目に生還した小野田寛郎(おのだ・ひろお)旧陸軍少尉の壮絶な日々と孤独を描いたヒューマンドラマ。その生き方をアラリ監督は“狂気”と“理性”という言葉で表現している。カンボジアで撮影を続けた2人にこの映画の魅力を聞いた。

若い頃の小野田少尉を演じた遠藤雄弥【写真:(C)bathysphere】
若い頃の小野田少尉を演じた遠藤雄弥【写真:(C)bathysphere】

カンヌ映画祭「ある視点」部門でオープニング上映 現地で反響

 俳優の遠藤雄弥と津田寛治が主演した仏独伊ベルギー日本合作映画「ONODA 一万夜を越えて」(アルチュール・アラリ監督)が10月8日に全国公開される。太平洋戦争終結後もジャングルに残って生き抜き約30年目に生還した小野田寛郎(おのだ・ひろお)旧陸軍少尉の壮絶な日々と孤独を描いたヒューマンドラマ。その生き方をアラリ監督は“狂気”と“理性”という言葉で表現している。カンボジアで撮影を続けた2人にこの映画の魅力を聞いた。

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――フランスで開催された第74回カンヌ映画祭「ある視点」部門でオープニング上映された際は約15分ものスタンディングオベーションが会場を包みました。

遠藤「映画に敬意を払って下さるお客さんが多い環境のなかでそういうリアクションをいただけてすごく良かったです」

津田「2年前にカンボジアでクランクアップを終えて以降、アラリ監督は2年間、ずっと編集を続けてきたので、監督の思いもひとしおだと思っています。日本兵を描いた映画ですが、見たことのないような日本兵が登場し、『何だ、この日本兵は?』とビックリされるのではとも思いましたが、15分間のスタンディングオベーションはうれしかったです。それにしても15分はすごい。15分のスタンディングオベーションなんか経験したことがない。15分ってけっこう長い時間ですよ。サウナだったら入っていられませんよ(笑)。それくらい長く拍手を浴びる経験を1回はしてみたいですね」

遠藤「サウナに15分はキツイですよね(笑)」

ジャングルを転々とする小野田少尉を演じた津田寛治【写真:(C)bathysphere】
ジャングルを転々とする小野田少尉を演じた津田寛治【写真:(C)bathysphere】

――アラリ監督はフランス人です。演出の仕方に違いはありましたか?

遠藤「シナリオに書いてあることを演じるのですが、そこからどんどん遠くに離れてほしい、100人中98人がこういうことが起きているな、という想像を裏切ってほしい、という演出でした。遠くに行って一緒に探していこうというスタイルです。監督から『これから大冒険になる。最後まで一緒に乗り切って楽しい冒険にしましょう』という内容のメールをいただき、シナリオだけでは到底思いつかないような感情があふれました。ワクワクするアドベンチャーに連れて行ってもらいました」

津田「若い小野田パートの役者さんは冒険だったのでしょうが、年取った小野田パートとして引き継いだ僕には全然違っていました。小野田は同伴の小塚金七を失ってどんどん孤独になっていく。役作りとして食事制限をしたり、ベッドの上で瞑想(めいそう)をしたり、ジャングルの中でたった1人でたたずんだり。監督とはあえて深い話はしなかったし、監督も僕のことはそっとしておいてくれました。監督が集中しているのがよく分かりましたね。小野田はジャングルと同化してしまったのか、と考えたり自分自身と向き合う撮影でした。若い小野田パートとは真逆でしたね」

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