「生半可な覚悟では同じ土俵に立てない」 篠原ゆき子が圧倒された高畑淳子の壮絶演技

コロナ禍で生きる女性の強さと弱さを描いた映画「女たち」(6月1日公開、内田伸輝監督)で主役を務めたのが、篠原ゆき子だ。同作は奥山和由プロデューサー率いる「チームオクヤマ」の発足25周年の記念作で、第43回モスクワ国際映画祭メインコンペティション部門にも出品されるなど高い評価を得た。体が不自由な毒母を演じた高畑淳子の迫力ある演技には「生半可な覚悟では同じ土俵に立てない」と告白した。

映画「女たち」で主演と務めた篠原ゆき子【写真:山口比佐夫】
映画「女たち」で主演と務めた篠原ゆき子【写真:山口比佐夫】

流行語にもなった「アベノマスク」も登場、コロナ禍の女性を描く映画「女たち」

 コロナ禍で生きる女性の強さと弱さを描いた映画「女たち」(6月1日公開、内田伸輝監督)で主役を務めたのが、篠原ゆき子だ。同作は奥山和由プロデューサー率いる「チームオクヤマ」の発足25周年の記念作で、第43回モスクワ国際映画祭メインコンペティション部門にも出品されるなど高い評価を得た。体が不自由な毒母を演じた高畑淳子の迫力ある演技には「生半可な覚悟では同じ土俵に立てない」と告白した。(取材・文=平辻哲也)

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 最近ではテレビ朝日の「相棒 season19」でレギュラーとなり、騒音おばさんをモチーフにした「ミセス・ノイズィ」に主演した篠原。本作は、奥山氏が「篠原主演でぜひ」と企画された。「奥山プロデューサーが『主役で撮ろうよ』っておっしゃってくれたんですが、社交辞令だと思っていたので、企画が実現した時は本当にうれしかったです」と笑う。

 物語は自然豊かな田舎町が舞台。体の不自由な母親・美津子(高畑)と2人暮らしをする美咲は、母のホームヘルパーとして自宅を訪れる直樹(窪塚洋介)との結婚を夢見ていた。だが、直樹からはひどい裏切りに遭い、養蜂場を営む幼なじみの親友・香織(倉科カナ)は突然、いなくなってしまう。2つのよりどころを失った美咲にコロナ禍が重くのしかかる……というストーリーだ。

「企画は2019年秋にまっさらな状態から始まったんです。最初は養蜂場の話がメインだったんですが、途中でコロナ禍になったんです。内田監督も奥山プロデューサーも『コロナ禍を無視しては作れないね』とおっしゃって台本が大幅に変わり、昨年夏に群馬・富岡で撮影しました」。劇中には、流行語にもなった「アベノマスク」も重要なアイテムとして登場。「(マスクが)届いたときはうれしかったです。やった、届いた!って感じでした。劇中の美咲はまっすぐな人で、政府からいただけて、うれしくて大事に使っているけれども、周りの人は意外と使っていない。彼女はちょっとボロボロになって、ほつれてきても、大事に使っていくんです」

 美咲役は内田監督による当て書き。劇団ポツドールの舞台では経験済みだが、映画では初めてだ。「すごく恵まれたモノづくりだなと思いました。すごくラッキー、幸せ者だと思います。監督とは前から話し合いをしていたので、自然と役に入っていくことができました。私の中のモデルは、亡くなった叔母。大好きな人ですが、生き方がちょっと不器用な人で、人とうまく関われず、ぶつかっちゃったりする人だったんですね。ちょっと悲しい最期だったんですけど、その彼女の人生を肯定したいと思っていました。先日、夢に出てきて、なんかすごい楽しそうに沖縄で暮らしているんです。うれしくて出てきてくれたのかな」

 映画は「島ぜんぶでおーきな祭 第13回沖縄国際映画祭」(4月17、18日)、モスクワ国際映画祭メインコンペティション部門(4月22~29日)で上映され、評判になったが、撮影では不安も大きかった。「役はじんわり入ってきてはいたんですが、つかみきれなくて……。テーマもはっきりしたものがなく、何か言葉で表せる訳ではなかった。ただ、倉科さん、高畑さんという素晴らしい俳優陣とご一緒できるんだから、何とかなるというのはどこかであったんですが……」

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