【Producers TODAY】「プロジェクトX」再放送はコロナ禍の“希望の光” NHK編成主幹「無名のヒーローがたくさんいる」

NHKは20年ほど前に放送した「プロジェクトX 挑戦者たち」(※1)をBSプレミアムとBS4Kで再放送している(毎週火曜、午後9時)。ネットフリックスやアマゾンプライム・ビデオなど映像作品をオンデマンドで見る視聴スタイルが広がる中、テレビ局は過去に放送された膨大な量の番組をどう活用すべきなのか。同局の伯野卓彦編成主幹に聞いた。

インタビューに応じたNHKの伯野卓彦編成主幹【撮影:鄭孝俊】
インタビューに応じたNHKの伯野卓彦編成主幹【撮影:鄭孝俊】

山口百恵さん引退コンサート番組は「若者からケタ違いの反響」

 NHKは20年ほど前に放送した「プロジェクトX 挑戦者たち」(※1)をBSプレミアムとBS4Kで再放送している(毎週火曜午後9時)。ネットフリックスやアマゾンプライム・ビデオなど映像作品をオンデマンドで見る視聴スタイルが広がる中、テレビ局は過去に放送された膨大な量の番組をどう活用すべきなのか。同局の伯野卓彦編成主幹に聞いた。

――NHKは1980年10月5日に東京・日本武道館で行われた山口百恵さんの最後のコンサートを特集した番組を昨年10月3日にNHK BSプレミアムで、5日にBS4Kで放送し、40年ぶりの復活として大きな話題となりました。放送までの経緯を教えてください。

「コロナ禍で閉塞感が強まる中、視聴者の皆さんに自宅で見て楽しんでもらえるコンテンツがないか考えていた時、頭をよぎったのが、中学生の頃に生放送で見た山口百恵さんのコンサートでした。いま放送できれば、自分と同じ50代はもちろん、その子供たちの世代にも感動してもらえるのではないかと思ったんです。昭和の音楽にはまる10代、20代の若者が最近増えていると聞いていましたし。そのあと交渉を重ねて放送の権利を得られたので、“ウルトラスケーラー”という技術を使って、元の映像を4Kに近い高精細画像にして放送しました」

――反響はどうでしたか?

「コンサートの最後で百恵さんがマイクを床に置くシーンに関する反響が多かったです。『有名なシーンを初めて映像で見て感動した』『百恵さんのオーラが凄かった』などです。一方、父親や母親と一緒に番組を見たという10代、20代の視聴者からの反響もケタ違いに多かったです。40年前の出来事でも、若者にとっては新鮮で魅力的なコンテンツとして受け入れられたようです。BSプレミアムでは78年放送の『天城越え』と85年放送の『破獄』を昨年6月に再放送しましたが、これらは若者にとって再放送というよりも完全に“新作”なんです」

――どういうことでしょう?

「番組放送から20年経過すると、多くの人はその番組を見たことがないわけですから、そういう方々にとっては事実上の“新作”と言ってもいい。ですから再放送には活用の仕方がいくらでもあると思います」

――「プロジェクトX 挑戦者たち」の再放送の狙いは?

「いちばんは、やはりコロナ禍です。多くの人が苦難に直面するなか、私が20年ほど前に携わった『プロジェクトX』のテーマ性に着目しました。番組は“ニッポン、すごかった”というトーンとして受け止められがちですが、実は主人公は無名の人たちです。だから“地上の星”なんですね。組織にやらされている、というより自分たちが頑張れば何か希望の光が見えてくる、無名のヒーローがたくさんいるんだ、ということを難しい時代に生きている視聴者の方々に伝えたかったんです」

――「プロジェクトX」の再放送にあたり権利処理が大変だったのでは?

「最初に放送された際に再放送の権利処理は行っていましたが、今回、出演された方全員に改めて再放送の許諾を取り直すことにしました。わりと順調に許可が取れまして、今回再放送する24本が決まりました」

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