高齢者優先のワクチン事情 10代以下重症化の可能性に東京都医師会「ノーコメント」

東京都医師会は11日、都内で定例会見を行い、新型コロナウイルス感染拡大の第4波を乗り切るため、高齢者への早期ワクチン接種の重要性を呼びかけた。一方、従来型より感染力、死亡リスクともに高いとされる変異株では、若年層の重症化例も多く報告されている。現役世代の接種時期、そして、現状ワクチン接種が認められていない子どもの世代への対応はどうなるのだろうか。

東京都医師会の尾崎治夫会長【写真:ENCOUNT編集部】
東京都医師会の尾崎治夫会長【写真:ENCOUNT編集部】

現状16歳未満の子どもにはワクチン接種の権利がない

 東京都医師会は11日、都内で定例会見を行い、新型コロナウイルス感染拡大の第4波を乗り切るため、高齢者への早期ワクチン接種の重要性を呼びかけた。一方、従来型より感染力、死亡リスクともに高いとされる変異株では、若年層の重症化例も多く報告されている。現役世代の接種時期、そして、現状ワクチン接種が認められていない子どもの世代への対応はどうなるのだろうか。

 従来型と比較し実効再生産数(1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す指標)が1.3~1.9倍、死亡リスクが1.55倍という「N501Y」変異株について、東京都医師会の尾崎治夫会長は「7割近くの都民の方に自宅近くで過ごしていただき、従来のウイルスであれば実効再生産数も抑えられてくるはず。しかし変異ウイルスが主体となってから1を上回るくらいの数字になっている」とあらためてその感染力の強さを強調。

 猪口正孝副会長も「40代でも100人に2人が重症化する。東京でも20代で人工呼吸器をつけている患者さんがいる。無症状は10%くらいで、若い人でもしっかりかかる。もはや若い人は安全という病気ではなくなっている」と語った。

 全世代で脅威となりうる「N501Y」変異株だが、対策は高齢者優先だ。尾崎会長は「高齢者のワクチン接種が進めば重症者が減る、重症者が減れば医療体制に余裕ができる。高齢者の引きこもりが減ることでフレイル(虚弱)や認知症の進行を防ぐこともできる」とその根拠を挙げ、高齢者の7月以内の接種完了を目標に設定した。

 一方、現役世代の接種時期や方法について質問が飛ぶと「高齢者は持病を抱えている方が多いので、なるべくかかりつけ医やお住いの市区町村で個別に対応するが、若い人はあまり持病を持っていない。歯科医師や薬剤師の方にも協力してもらって、大規模会場でどんどん打っていく方法にやり方を変えた方がいいのかな」と高齢者接種が終わったあとの接種方法について私見を語った。

 ワクチンを打てない世代への対応もある。厚生労働省ではワクチンの接種対象を16歳以上に限定しており、現状16歳未満の子どもには接種の権利がない。若い世代で症状が確認されており、保育所でのクラスターも発生している「N501Y」変異株について、猪口副会長は「今後10代未満にもワクチンを打つかどうかは微妙なところ。今は子ども同士や子から親にも感染する。10代以下もコントロールする考え方も必要になる。10代や乳幼児の重症化も起こりうるか? 可能性はあるが……分からない。そこはノーコメントで」と話した。

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