eスポーツ選手がセカンドキャリアに見据える普及活動「“教える”仕事が生まれ始めるのかなと…」

eスポーツが少しずつメジャーな存在となっていき、日本でも選手たちの認知度は上がってきた。その中で、eスポーツ業界の発展のための活動や、引退後のビジョンなどが語られることはまだ少ない。横浜F・マリノスeスポーツ(以下、F・マリノス)のデジタルカードゲーム「シャドウバース」部門の水煮(33)は、eスポーツの普及や業界の拡大に強い思いを持ち、そのために自身が考える取り組みについて語ってくれた。今回は後編。

水煮はeスポーツの普及活動に可能性を見いだしている【写真:ENCOUNT編集部】
水煮はeスポーツの普及活動に可能性を見いだしている【写真:ENCOUNT編集部】

横浜F・マリノスeスポーツ「シャドウバース」部門の一員として活躍する水煮

 eスポーツが少しずつメジャーな存在となっていき、日本でも選手たちの認知度は上がってきた。その中で、eスポーツ業界の発展のための活動や、引退後のビジョンなどが語られることはまだ少ない。横浜F・マリノスeスポーツ(以下、F・マリノス)のデジタルカードゲーム「シャドウバース」部門の水煮(33)は、eスポーツの普及や業界の拡大に強い思いを持ち、そのために自身が考える取り組みについて語ってくれた。今回は後編。(取材・文=片村光博)

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「シャドウバース」のプロ選手として活躍する水煮にとって、ゲームとの出会いは幼少期までさかのぼる。当時のゲームは家庭用ゲーム機でオフラインで遊ぶもので、対戦相手がいても基本的に目の前にいる家族や友人。ゲームを取り巻く環境は、オンラインでの対戦が当然となり、競技的にも取り組まれる現在とはまったく違うものだった。

 水煮はこのような時代が訪れることを「全然想像できなかったですね」としながらも、「こんなに規模が大きくなるとは想像していなくて、びっくりしています。僕にとっては良い時代になってくれたと思っています」と明かす。ゲームとともに育ち、生業とする生き方が選択できる時代になった。

 だからこそ、この流れをさらに加速させたいという思いもある。いまは選手として全力を尽くしているが、将来的にはセカンドキャリアとしてeスポーツの普及活動を視野に入れているという。

「可能な限り、実現するならやりたいと思っています。F・マリノスでもヒューマンアカデミーというところで講師をさせてもらっていて、その経験もあって教えることは楽しいと感じています。僕が担当したのは全体でも20~30人くらいですが、その方々に楽しんでもらったり、シャドウバースに興味を持ってもらったりすることができれば、そして友達に『シャドバ、面白いよ』と連鎖して広まっていけば、いつか誰かの目に留まってつながっていくのかなと感じています。そうやって規模が大きくなっていけば、シャドウバースに限らずeスポーツを“教える”仕事が生まれ始めるのかなとも思っていて……。そうなったらいいな、という希望の段階ですけどね」

 20年前からは考えられないほどにゲーム業界は成長し、対戦型ゲームのプロリーグは珍しいものではなくなった。そうした流れの中で、ゲームを“教える”ということの可能性や未来への広がり、そして楽しさを水煮は感じている。

「生徒の方がレベルアップしていくことが楽しいですね。授業では教えてから対戦する機会もあるんですが、僕が教えたスキルをしっかり生かしてくれていると、一番うれしいです。生徒の方と個別指導もさせていただいて、そのときも教えたテクニックを生かしそうとして頑張ってくれました。そういう姿勢はすごくうれしいです。もし今後、生徒からプロ選手が出てくるようになったら、本当にうれしいですね。そうやって連鎖していくのがいいのかなと思っています」

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